京都での時間をより濃いものにするなら、旅のテーマを「学び」にしてみるのはいかがですか? 自分と向き合う坐禅や写経、京の味の秘密を探る料理教室やサロン、そして衹園祭を学べるスポットも。見たり、聞いたりするだけではない京都旅行ができるプランをご用意しました。京都での経験が自分を成長させてくれる……。そんな大人の学び旅にご案内します。
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PICK UP SPOTは、メインスポットの前後での立ち寄り先候補としてご紹介するスポットです。ぜひいろいろと組み合わせ、あなただけのオリジナルコースを作ってみてください。
老舗料亭の料理教室 「懐石・宿 近又」
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その土地ならではの食事は、旅のお楽しみ。京都に来たなら、ぜひ味わってほしいのが懐石料理です。京都の料理人たちが長年受け継いできた伝統の技とおもてなしの心、そして季節感が器に詰まっていて、ひと皿ひと皿ごとに、驚きと感動を与えてくれます。そんな京懐石はどうやって作られているのか……?その秘密に触れることができるのが、懐石・宿 近又のミニ料理教室と食事会です。近又は、江戸時代、享和年間に宿として創業し、200年以上が経った現在も宿として、そして懐石料理を味わう店として、多くの人に愛される老舗です。
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お店があるのは、京の台所・錦市場のすぐ近く。錦小路通の賑わいを感じながら御幸町通を南に進むと、風情ある京町家が見えてきます。建物は明治時代に建築されたもので、京都らしいウナギの寝床型の細長い造り。2001年には、国の登録有形文化財となった由緒ある建物です。料理教室は1階のテーブル席のレストランで行われ、その後、部屋を移動して、その日にならった料理を参加者でいただく食事会が行われます。
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この日の料理にはなかった「鱧の湯引き」も実演。こういった〝脱線〟もうれしい!
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近又のミニ料理教室は、七代目主人の鵜飼治二さんが説明しながら調理をし、参加者はそれを見学するスタイルです。取材に訪れたのは10月。夏とはまた違った味わいの「名残鱧」や、秋の食材の王様・松茸料理、肉料理では鴨のローストも。2時間で4皿を教えてくれる盛りだくさんの内容です。参加者はレシピを手に、鵜飼さんが料理する様子を間近に見て、メモを取ったり、質問したり、京懐石のテクニックを見逃すまいと、熱心に学んでいます。 鵜飼さんが料理を作るカウンターから参加者までは、ほんの1メートルほど。まさに目の前で、京懐石の技が披露されるのです。その際に、やり方のコツや、良い食材の見分け方、さらにはアレンジ料理のアイデアまで、料理が上達するポイントを冗談も交えながら解説してくれるので、和やかな2時間はあっという間に過ぎていきます。
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料理教室で作った料理は、琥珀羹 梨と豆腐のすり流し、鱧葛たたき、海老芋蒸、車海老丹波揚げ。
料理を教わることで、京懐石の奥深さを学んだら、続いて食事会へ。部屋を移動して、この日にならった料理を含む、フルコースをいただきます。旅の思い出とともに、京懐石の技を家に持ち帰ることができる、素敵な体験教室です。
季節を感じる京料理のおもてなし
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京料理には、春は苦味、夏はみずみずしさ、秋は香り、冬は甘みと、季節ごとの楽しみ方があります。その味わいには、野菜が大きな役割を果たしています。盆地で寒暖の差が激しい京都では、おいしい野菜が育ち、料理に四季の彩を添えてくれるのです。また、都には、古くからさまざまな食材が集まりました。とくに魚は「かつぎ」と呼ばれる人々が、日本海側の地域から運んでいました。そのおかげで、海に接してない京都で、鯖寿司といった魚の料理が愛され、定着したのです。
それから、おいしさを決めるのには、器も一役買っています。季節や歳時記にちなんだ絵柄が描かれているだけでなく、食べ終えると、それまでは料理に隠れていた別の絵柄が現れてくることも。これも京料理のおもてなしの一つ。料理が運ばれて来たらまず器を見て、そして食べ終えたら、料理の余韻を大切にしつつもう一度、器を見てください。もてなした人の心づかいに気付けば、より一層感動が深くなるでしょう。
(協力:懐石・宿 近又)
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PICK UP SPOT
祇園祭に関する展示がずらり
茶のうまみを堪能
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食・グルメ・ショッピング
Salon de KANBAYASHI 上林春松本店
永禄年間の創業以来、確かな味で多くの人を魅了してきた宇治の老舗茶舗「上林春松本店」。伝統を受け継ぎながら、革新的な手法で日本茶の発展に務めてきた上林春松本店が「もっと多くの人に日本茶を気軽に楽しんでほしい」と、アカガネリゾートとコラボしてオープンさせたのが、こちらのサロン。パティシエ手作りの本格デザートとともに、上林春松本店が選定した玉露と煎茶を急須でいれて味わうことができます。お茶の香りが漂う洗練された空間で、老舗の感性ならではの上質な時間を過ごしては。
自分を見つめる贅沢な時間 「勝林寺」
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人生に迷ったとき、悩み事があるとき。何か特別な理由ないと、坐禅をする必要なんてないと思っていませんか?歴史ある寺院で、心の中を15分間空っぽにすることは、日々の暮らしをとても豊かなものにしてくれます。
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今回、坐禅体験のために訪れたのは勝林寺。東福寺の一番北側にある塔頭寺院です。勝林寺が創建されたのは天文19年(1550)。財福、戦勝の神とされる毘沙門天王像をご本尊とし、東福寺の鬼門(北方)を守ってきました。江戸時代に近衛家の大玄関を移築したものと伝わる本堂は、モミジの木々の向こうで、参拝客を優しく迎え入れるように佇んでいます。モミジのなかでもひときわ目を引くのが、本堂の脇にある「吉祥紅葉」。古くから、美や幸運をもたらす吉祥天が宿ると言われていて、かつては祇園の芸舞妓がお参りに訪れていたとか。神聖なモミジにパワーをもらうのも、勝林寺を訪れる楽しみの一つでしょう。
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坐禅の前と後に、ご住職からありがたい法話が。
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坐禅体験の始まりは、御住職のお話から。お寺の歴史、坐禅の方法、そして心得。一通り説明してくれるので、初めてでも心配はいりません。座布団の上に胡坐をかくように座り、ご住職の指示に従って姿勢を正し、心をからっぽにしましょう。晴れの日は鳥のさえずり、雨の日は雨粒の音。自然の音だけが耳に届く贅沢な時間です。「何も考えないで、というのは難しいですよね。何か考えてしまうかもしれませんが、そのまま15分。自分を見つめてください」とご住職。警策は自分から申し出ます。もし、必要だなと感じたら、合掌して頭をさげて、警策を受けましょう。勝林寺では、15分の坐禅が休憩をはさんで2回行われ、終了後は、ふたたびご住職の法話をいただきます。
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気持ちがすっきりしたら、抹茶と季節のお菓子(要別途料金)を味わいながら、もう一度庭を眺めましょう。最初に見たときと、ちょっとだけ見える景色が変わっているかもしれませんね。
PICK UP SPOT
写経体験で精神統一
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寺院・神社
雲龍院(泉涌寺別院)
応安5年(1372)、後光厳天皇により創建された泉涌寺の別院。後円融天皇が如法写経を信奉し、綸旨を下して以来写経の道場となり、後水尾天皇から写経会に要する100点余りの仏具を賜ったという歴史も。現在も重要文化財である本堂「龍華殿」で写経体験が行われています。写経する時に使用する机は、後水尾天皇によって寄進された貴重なもの。体験の最後には、庭園を見ながら抹茶やお菓子をいただけます。街の喧騒を離れ、一心不乱に筆を動かす、非日常の体験をしてみては。