京都は、伝統を守り伝える千年の都であるとともに、多くの企業を生んだ産業の都市でもあります。私たちが日常で使っている道具やシステムの中には、京都で発明されたものもたくさん。京の街では、職人の手仕事を伝承しつつ、一方で新しい技術の開発も行われてきたのです。企業の記念館や博物館に足を運べば、知られざる事実に出合うことができるでしょう。
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PICK UP SPOTは、メインスポットの前後での立ち寄り先候補としてご紹介するスポットです。ぜひいろいろと組み合わせ、あなただけのオリジナルコースを作ってみてください。
天才親子の努力を知る 「島津製作所 創業記念資料館」
島津製作所は、高瀬川が流れる木屋町二条周辺の小さなお店から誕生しました。明治時代、高瀬川の北端には欧米の最新技術を取り込んだ産業施設が次々と設立され、この一帯は、京都の科学振興の中心地でありました。もとは仏具職人だった初代・島津源蔵は、この地に立てられた研究所(舎密局(セイミキョク))に通い、海外の進んだ技術を学んで教育用の実験器具の製造をスタート。医療機器や航空機器など、精密機器の製造で有名な島津製作所ですが、全ては一人の仏具職人から始まったのです。
おもしろ実験コーナーにある、衝突事故の原理を学べる装置。二代目源蔵が発明した。
大正期の医療用レントゲン。
初代の意思は長男に受け継がれ、二代目源蔵は医療用レントゲンや蓄電池など、日本初の製品を次々に開発しました。資料館には創業から現代にいたるまで、島津製作所が発表してきた数々の製品が並んでいます。時代を追うごとに緻密になっていく精密機械は、見飽きることがありません。おもしろ実験コーナーでは、3Dメガネの原型や、映画の仕組みがわかる装置を使って、科学のおもしろさを体感することができます。また、ノーベル賞を受賞した島津製作所の社員・田中耕一氏の特設展示は、将来を考えるきっかけを与えてくれるでしょう。
島津製作所の歴史を学べるアニメーションでは、都が東京に移ったことで急速に衰退していった京都の街と、それを盛り返そうと努力する市民の姿についても、わかりやすく解説されています。欧米に比べてまだ知識も技術も遅れた日本で、島津親子は次々と新しい発見を続けてきたのです。もの作りの喜びを原動力に、新しい技術を開発し続けた二人の発明家。その飽くなき探究心に、感動せずにはいられません。
社会のニーズを先取り 「オムロンコミュニケーションプラザ」
体温計や血圧計でおなじみのオムロンも、京都で生まれた企業の一つ。オムロン京都本社の横に立つ、オムロンの歴史と技術を展示するオムロンコミュニケーションプラザも、学生におすすめのスポットです。一日に約4回行われる見学会は、予約が必須ですが、一名でも団体でも、館内施設は貸切。スタッフの案内のもと、じっくり見学することができます。
まずは3階、歴史のフロアへ。ここでは創業から現代にいたるまで、オムロンが社会のニーズに先駆けて、どのような製品を開発してきたかを、実物を見ながら辿ることができます。実は、誰もが使ったことのある改札機の技術も、世界で初めてオムロンが開発したものです。展示を見れば、私たちの手を離れた切符が、正確に処理されながら、驚くべきスピードで改札機をすり抜けていく様子がわかります。
さらに、日本で初めて福祉工場を設立したのもオムロンでした。働く環境に少しの工夫を加えることで、障がいを持った人もいきいきと働くことができることを、世の中に証明したのです。
プロジェクションマッピングに照らされる2階「技術のフロア」。
2階は、様々な社会課題を解決する商品やテクノロジーを「社会」・「生活」・「産業」の3つのコーナーに分けて紹介する、技術のフロアです。ここではフロアの空間全体を生かしたプロジェクションマッピングや、性別・年齢・感情を判別する顔画像センシング技術、人の目線を認識するドライバーモニタリングの技術など、わくわくする仕掛けがたくさん! ゲーム感覚で最先端の技術を体感しましょう。
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PICK UP SPOT
ファインセラミックの謎に迫る
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美術館・博物館
京セラファインセラミック館
京セラ株式会社が1998年にオープンした、京セラの主力商品「ファインセラミックス」について学ぶことができる施設。ファインセラミック技術の発展過程が展示されているほか、小惑星探査機「はやぶさ」や、約11,000メートルの深海で使われている部品など、驚きの利用方法も紹介。また、金属やステンレスなど、物質の重さや硬さなどを比較して、その特性や用途を学ぶコーナーなど、理系の学生にはたまらない展示がたくさん。京セラの最新技術を、見て、触れて、体感してください。