非日常なひとときが何よりの贅沢。誰にも気兼ねしないひとり旅で、風情ある宿に泊まり、とっておきの朝食を食べ、特別感あるおもたせを手に帰路に着くコースを紹介します。出発は仕事後の金曜日でもOK。日常から離れ、のんびり京都を旅してみたい人におすすめです。普段頑張っている自分へのご褒美に、こんなひとり旅はいかが。
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PICK UP SPOTは、メインスポットの前後での立ち寄り先候補としてご紹介するスポットです。ぜひいろいろと組み合わせ、あなただけのオリジナルコースを作ってみてください。
老舗のもてなし 「柊家別館」
※プランによっては、朝食がセットになっている場合があるので注意。
ひとりでの京都の滞在をより特別な思い出にするなら、宿選びも大切です。気軽に利用できるホテルもよいけれど、せっかくなら京都らしい情緒を感じる宿で、贅沢な時間を過ごしてみたいもの。柊家の別館として昭和34年(1959)に創業した「柊家別館」は、そんな思いを叶えてくれるお宿です。
宿は街の中心地にありアクセスも良好ながら、静かに佇む姿が印象的。大正時代築という純和風の建物の門をくぐった先には石畳のアプローチが続き、進むほどに旅情がかきたてられます。格子の扉を開けてすぐ、目の前に掛かる「来者如歸(らいしゃにょき)」の陶板は、 「 来るもの帰るがごとし」という意味で、自分の家に帰ってきたようにくつろいでもらいたいという思いが込めれたもの。2階建てで全14部屋というこぢんまりとした大きさも、ひとり旅には程良く感じられます。
お部屋では、自慢の料理を部屋でくつろぎながら楽しめます。四季の素材を主役に上賀茂や大原などで仕入れた新鮮な野菜・果物を盛り込んだ日本料理は、見ているだけで満たされそうな美しさ。五感を潤す繊細な日本料理をひとり静かに味わうことは、贅沢の極みといえるかもしれません。
数々の著名人が愛した宿・柊家旅館の精神を受け継ぐもてなしながら、1泊2食付2万1,600円〜という手頃な価格も魅力のひとつ。街歩きの拠点にもぴったりの宿で、一人の時間を堪能しましょう。
白ごはんの美味に目覚める 「朝食 喜心 kyoto」
京都で迎えた朝は、とっておきの朝食で1日のスタートを切ってみてはいかが。花見小路通のほど近く、祇園の路地の一角に店を構える「朝食 喜心 kyoto」はその店名通り、朝食専門の和食店。土鍋で炊く白ごはんを主役にした、シンプルながら和食の真髄を極めた朝食で、各地から訪れる食通の心をつかむ名店です。
料理の監修を手がけるのは、日本食文化を発信するために海外でも活躍する中東篤志さん。白ごはんのおいしさを伝えるために、メニューは「一飯一汁」を基本とした献立を用意しています。
まずは、1日の最初に口にするものだからと優しい味に仕上げた、向付(むこうづけ)の汲み上げ湯葉からいただきます。京都の「ゆば工房 半升」の湯葉は大豆本来の甘さがしっかりと感じられ、とろりと濃厚な口当たりが印象的です。
土鍋でごはんが炊き上がると、「煮えばな」と呼ばれる炊き立てのごはんがひと口分登場します。米からごはんに変わってすぐの煮えばなは香りや風味が強く、米が1番おいしく味わえる状態とも言われているそうです。蒸らす前のごはんはつやつやと輝き、口に広がる米の甘さとみずみずしさは土鍋でしか体験できない贅沢な味わい。ごはんがおいしく炊き上がるように研究を重ねて誕生したという滋賀・彦根の一志郎窯の土鍋と、幾種類もの米のなかから選ばれた山形県産のつや姫は、ごはんをおいしく食べるための最高の組み合わせといえます。
煮えばなの後には少し蒸らしたごはんを、汁物とうるめいわしの干物、自家製の漬物など、おかずとともに楽しみます。汁物は京白味噌の豚汁・季節野菜の汁物・海鮮和風トマト汁の3種から選択。1番人気の豚汁は、料亭御用達のしま村の白味噌と丁寧にとった出汁がきいていて、朝の空腹に優しくしみわたるおいしさ。ごはんとの相性が抜群なのは言うまでもありません。
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PICK UP SPOT
お庭を眺めながら一服
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食・グルメ・ショッピング
虎屋菓寮 京都一条店
京都御苑のほど近くに位置する、室町時代後期に京都で創業した和菓子の老舗「とらや」の喫茶。店内には伝統とモダンが調和した落ち着いた空間が広がり、見た目も味も洗練された甘味を、季節ごとに表情を変える庭を眺めながらいただくことができます。日本文化に関わる書籍約600冊は自由に閲覧できるので、甘味を食べながら書籍を眺め、ゆっくりと上質な時間を過ごしてください。併設の「虎屋 京都ギャラリー」で不定期で開催される、京都にちなむ展示や講演会にも要注目です。
自分に贈るご褒美土産
御所へ献上した逸品
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お土産・伝統工芸
御ちまき司 川端道喜
文亀3年(1503)に、京都の鳥羽出身の武士・渡辺進が開いた餅屋が同店の起源。戦国時代には、財政がひっ迫していた朝廷に、塩あんで包んだ餅を毎朝献上していたといわれ、その餅は「お朝物」と呼ばれていたそう。この献上は後に「朝餉(がれい)の儀」として形式化し、明治天皇が東京に移るまで続きました。現在の川端道喜を代表する銘菓「水仙粽」「羊羹粽」は要予約。吉野葛に上白糖を加えて練り上げ、笹の葉に包んで蒸したもので、一度食べたら、つるんとした口あたりと豊かな笹の香りの虜になるはず。