京都で最も古い花街・上七軒や、歴史ある西陣界隈を散策するコース。千本格子の町家が並ぶ風情ある通りは歩くだけでも気分が高まりますが、せっかくなら芸妓さんや舞妓さんに会えるスポットにも足を運びましょう。1日の最後には老舗の居酒屋・神馬を訪れてひとり飲みに挑戦。ツウな京都を、夜までしっかり楽しむプランです。
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PICK UP SPOTは、メインスポットの前後での立ち寄り先候補としてご紹介するスポットです。ぜひいろいろと組み合わせ、あなただけのオリジナルコースを作ってみてください。
PICK UP SPOT
下町風情あふれる商店街
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食・グルメ・ショッピング
西陣千本商店街(ラ・ヴィタ千本)
商店街がある千本通は、平安京の朱雀大路にあたり、平安時代から多くの人が行き交う華やかな通りでした。商店街は西陣機業地としても栄え、かつての花街、上七軒と五番町を背景に、庶民的商店街として賑わいました。昭和47年(1972)の市電撤去に伴ってアーケードが完成し、1994年以降、現在の風景に。路地に耳をすませば、今も西陣の機織りが聴こえてくる、どこか懐かしい商店街です。ちなみに「ヴィタ」とはイタリア語で生活・暮らしを意味しています。
でき立てにこだわりあり
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食・グルメ・ショッピング
粟餅所・澤屋
北野天満宮のすぐ近くに、江戸時代より続く甘味処があります。店名の通り粟餅一筋で、種類はきな粉とこしあんのみ。でき立てにこだわっており、土台となる粟餅は一日に何度もつくのだそう。店の奥からは、トントントンと、餅をつく音が聞こえてきます。できたての餅は少し温かく、粟のぷちぷちとした食感に、甘さ控えめのきな粉とこしあんがよく合います。年季の入った店内も魅力的。この周辺にはおしゃれなカフェも点在していますが、歴史あるお店で一服こそ、粋な大人の嗜み方かもしれません。
学問の神様を参拝
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寺院・神社
北野天満宮 (北野の天神さん)
天暦元年(947)に創建された、全国に約1万2000社ある天神社・天満宮の総本社。平安時代に学者・政治家として活躍した菅原道真公を御祭神とし、現在は学問の神様としての信仰が厚いため、多くの受験生らが参拝に訪れています。国宝である御本殿は豊臣秀頼公が造営したもので、八棟造と称される絢爛豪華(けんらんごうか)な桃山建築。毎月25日の縁日では宝物殿の特別公開が行われ、境内には多くの露店が立ち並んでにぎわいを見せます。また、梅と紅葉の名所としても名高いスポットです。
京都最古の花街でカフェタイム
「茶ろん上七軒」
(上七軒歌舞練場)
2020年5月時点、新型コロナの影響のため休業中
北野天満宮の東門前に広がる、室町時代から続く花街・上七軒。その中ほどに位置する「上七軒歌舞練場」は、上七軒の芸舞妓が日々の稽古の成果を披露する劇場施設です。毎年春には「北野をどり」、秋には「寿会」が開かれ、華やかな舞台で多くの観客を魅了します。
ぜんざいに抹茶が付く、舞妓さんセット700円。
上七軒歌舞練場の中庭に面する一角に立つ「茶ろん上七軒」は、誰でも気軽に利用できる喫茶室です。ランチに提供されるジューシーな手作りのハンバーグと、サクッとした衣の中からやわらかいクリームがとろりと出てくるエビクリームコロッケは、リピーターに愛される味です。
14時から食べられる甘味メニューは、ぜんざいに抹茶が付く「舞妓さんセット」が人気。上七軒の紋章にみられる5つのだんごにちなみ、ぜんざいの中には5つの白玉が入っています。小豆のしっかりとした食感を味わえるほどよい甘さのぜんざいで、良質な宇治抹茶と好相性です。
ここで毎年夏に開かれるビアガーデンは、今では上七軒の夏の風物詩。夜になり風情が増す歌舞練場で、浴衣姿の芸妓さん・舞妓さんがもてなしてくれます。普段でも、店に芸妓さんや舞妓さんがふらりと立ち寄ることがあるのだとか。そんなうれしい出会いが期待できるのも、歌舞練場に立つ店ならではの醍醐味です。
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歴史ある居酒屋でひとり飲み 「神馬」
かつて西陣の一大歓楽街として栄えた千本界隈。千本通と中立売通が交わる千本中立売が、その中心といわれた場所でした。昭和9年(1934)創業の「神馬」はその千本中立売の北西に立つ、京都で最も歴史があるといわれる居酒屋。全国から居酒屋好きが訪れる、酒場の聖地のような存在です。
扉を開けると店は思った以上に奥が深く、手前にはひとり飲みにお誂えのカウンターがあります。初めて訪れる店でのひとり飲みはハードルが高いものですが、「うちは男性よりも女性のひとり飲みの方が多いくらい、たくさん来られますよ」との店主のひと言に安心。初めて訪れる客にも気さくに接する姿を見ていると、ひとり飲みに人気が高いのもうなずけます。
ほぼ毎日変わっていくというメニューは、毎朝中央市場に足を運び、仕入れた素材を中心に組み立てているそう。夏はアユやハモ、冬はノドグロやマツバガニなど、天然にこだわった季節の素材を味わうことができます。祇園の割烹や料亭などで修行を積んだ店主の料理は、京料理らしい繊細な味ながらも親しみやすく、酒の肴にぴったり。魚介だけでなく、旨みたっぷりのイチボ牛を低温でじっくりと焼いた自家製のローストビーフなど、意外な料理も名物。もち米のしば漬けごはんに20枚の大葉を刻んで乗せた「大葉としば漬飯蒸し」など独創的な料理にも、独自のセンスが光ります。また、多彩な料理に合うおすすめのお酒は灘の6種の酒をブレンドした、店オリジナルの酒。店の看板酒として古くから愛されています。現店主の祖父の代に始まり80余年の歴史を刻んだ店は、酒蔵を模して造ったという建物がレトロな雰囲気。3代に渡り受け継がれた居酒屋は家庭的であたたかく、またここに帰ってきたいと思う、特別な場所になるはずです。
「造り盛り合わせ」1,600円。
手前が「はもみぞれ煮」1,300円
奥が「大葉としば漬飯蒸し」800円(税抜)