旅のカタチ

旅のカタチ

京町家が並ぶ、風情ある雰囲気が漂う西陣。伝統工芸品・西陣織の産地として有名です。この地でのテーマは「ご利益めぐり」。神社だけではなく、グルメスポットでもご利益をいただきましょう。ちなみに西陣とは、「応仁の乱」(1467年~1477年)で山名宗全率いる西軍が陣を構えたことに由来する地名。まち歩きをしながら、そんな歴史も感じてみてはいかがですか。
※撮影時のみ、マスクを外しています。

モデルコース

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PICK UP SPOTは、メインスポットの前後での立ち寄り先候補としてご紹介するスポットです。ぜひいろいろと組み合わせ、あなただけのオリジナルコースを作ってみてください。

国宝にまつわる夫婦円満の物語 「千本釈迦堂 大報恩寺」

千本釈迦堂 大報恩寺 写真00 千本釈迦堂 大報恩寺 写真00

「おかめさん」と言えば、目を細めてにっこり笑うふくよかな女性が思い浮かびます。鎌倉時代に創建された「大報恩寺」(千本釈迦堂とも。以下、千本釈迦堂)は、そのおかめさんゆかりの地。夫との強い絆を感じるエピソードが語り継がれ、縁結びや夫婦円満、子授けのご利益でも知られています。

千本釈迦堂 大報恩寺 写真01 千本釈迦堂 大報恩寺 千本釈迦堂 大報恩寺 千本釈迦堂 大報恩寺

おかめさんの夫・長井飛騨守高次は千本釈迦堂の本堂造営に携わる大工の棟梁。ところが、誤って柱を1本だけ短く切ってしまいます。苦悩する夫を見ていたおかめさんは、〝枡組(ますぐみ)〟という方法を使うことをさりげなくアドバイス。そのおかげもあって、高次はピンチを乗り越えて本堂を完成させることができました。そしてようやく迎えた上棟式の日。妻の助言で夫が大任を果たしたことが世間に知られないようにと、おかめさんは自ら命を絶ってしまいます。夫を思うおかめさんを偲んで境内に建てられたのが、「おかめ塚」です。

千本釈迦堂 大報恩寺 写真02 千本釈迦堂 大報恩寺

そんな夫婦の物語の末に本堂が建てられたのは約800年前のこと。本堂は京都市内最古の木造建造物として国宝に指定されています。戦や火災で木造の建物が失われることが多かった京の都。特に、西陣エリアは応仁の乱の舞台となった場所でもあり、千本釈迦堂のあたりは西軍の中心地でした。本堂の柱についている無数の傷は、応仁の乱の際の槍や刀の傷あとと言われています。こうした歴史を経て、奇跡的に現代に受け継がれてきたのです。

千本釈迦堂 大報恩寺 写真03 千本釈迦堂 大報恩寺 写真04

本堂の東側にあるガラスケースには、たくさんのおかめさんの人形が展示されています。これらは参拝者が奉納したもので、なかには室町時代の人形も。どの顔もふっくらした幸せそうな笑顔ですが、実はこの顔には夫婦円満のための五つの秘密があるのだとか。

1.広く、つき出たおでこ(上が見えないことから、おごり高ぶる気持ちをいさめる)
2.下にさがった目じり(微笑む、笑うことが大切)
3.右の頬ぼね
4.左の頬ぼね(3は父で4は母。その間にあり、頬よりも低い鼻が自分を表し、父母を大切にしないといけない)
5.おちょぼ口(相手が怒るからと言わないでおくのではなく、相手が嫌がるようなことも言うことは大切。ただし小さい口から)

並んで微笑むおかめさんの人形を眺めていると、お互いに助け合う夫婦の素晴らしさが伝わってくるようです。すてきな結婚相手を見つけたい、良縁を結びたいという人は、おかめさんに会いに出かけてみてはいかがでしょうか。

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千本釈迦堂 大報恩寺 写真07 千本釈迦堂 大報恩寺 写真

千本釈迦堂には、鎌倉時代から伝わる仏像が多く残っていて、それらは重要文化財に指定されています。その仏像を間近に見ることができるのが本堂横にある「霊宝殿」。釈迦に従う十人の弟子をモチーフにした「十大弟子像」は仏師・快慶の作。まとっている布のひだの具合や体の肉付きなど細緻に表現されていて驚くばかり。また、定慶作の「六観音像」は穏やかな表情や美しい装飾が印象的です。古くから人々の信仰を集めてきた仏像を前にすると、ゆったりとした時の流れを感じることができるでしょう。

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「四神」がモチーフの干菓子

“二人が喜ぶ”店で天ぷら会席 「天㐂」

“二人が喜ぶ”店で天ぷら会席「天㐂」写真01 “二人が喜ぶ”店で天ぷら会席「天㐂」写真01

交通量も多く、商店が立ち並ぶ千本今出川の交差点近く。「天㐂」とかかれた暖簾をくぐって扉をあけると、さらに奥へと通り庭(土間)がのびていて、まるで静かな京のまちの一角に迷い込んだような趣き。しっとりとした風情の京料理と天ぷらの専門店で、ゆっくりと素材の味を楽しむひとときを過ごしましょう。

“二人が喜ぶ”店で天ぷら会席「天㐂」写真02
“二人が喜ぶ”店で天ぷら会席「天㐂」写真03 “二人が喜ぶ”店で天ぷら会席「天㐂」写真03

目の前で天ぷらを揚げてくれるカウンター席、そして中庭を挟んだ別棟には掘りごたつの個室や茶室もそなえた贅沢な空間です。天㐂という店名には「二人が㐂(喜)ぶ」という縁起のよい意味も込められていて、結納や披露宴に利用されることも多いそうです。

“二人が喜ぶ”店で天ぷら会席「天㐂」写真04

写真は3,500円(税別、イス席のみ)のコース料理の一例。先付け、煮物椀、造り、天ぷら、炊き合わせ、香の物、御飯など

創業は昭和8年(1933)。現在は3代目が店を切り盛りしています。開店当初は天ぷらだけを提供していたそうですが、初代主人がお造りやお吸い物といった会席料理に天ぷらを取り入れることを考案。今では当たり前となった「天ぷら会席」を始めたお店としても知られています。

“二人が喜ぶ”店で天ぷら会席「天㐂」写真05 “二人が喜ぶ”店で天ぷら会席「天㐂」写真

シンプルな料理だけに素材が命ともいえる天ぷら。季節の京野菜、ワカサギやアユといった琵琶湖の魚のほか、全国各地の厳選食材を使用しています。最近では岩手県の山菜なども取り入れているそう。素材を引き立てる天ぷら油と天つゆにもこだわりが。天㐂では、香りが軽い「大豆の白絞め」という油を使用し、素材の風味を存分に感じながら、サクッとした天ぷらの食感を楽しめます。天つゆは創業時から継ぎ足し続けた伝統の味。時間によって熟成した天つゆが、旬の素材を美味しくするのも、創業80年を超える天㐂ならではの醍醐味でしょう。

“二人が喜ぶ”店で天ぷら会席「天㐂」写真06 “二人が喜ぶ”店で天ぷら会席「天㐂」写真07

予約がなくても気軽にいただける食事から、天ぷらと京料理の魅力を存分に味わえる本格的な要予約のコースまで、メニューは多彩。京都らしい落ち着いた空間で、西陣の人々に愛されてきた天ぷらに舌鼓。そんな旅に出掛けてみてはいかがですか。

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