旅のカタチ

旅のカタチ

梅小路という名称が生まれたのは、平安京造営時。桓武天皇が名付けた通り名が始まりだったと言われています。現代では京都駅の西側に広がる、緑いっぱいの梅小路公園を中心とするエリアがこのように呼ばれています。今回は、京都水族館や京都鉄道博物館、新しいホテルも続々と登場する梅小路エリアをご案内。新しくてディープなスポットを家族で楽しく旅しませんか。
※撮影時のみ、マスクを外しています。

モデルコース

※右に横スクロールすると全体が確認できます。

PICK UP SPOTは、メインスポットの前後での立ち寄り先候補としてご紹介するスポットです。ぜひいろいろと組み合わせ、あなただけのオリジナルコースを作ってみてください。

広大な敷地に憩いの場が点在 「梅小路公園」

広大な敷地に憩いの場が点在「梅小路公園」メイン写真 広大な敷地に憩いの場が点在「梅小路公園」メイン写真

サルスベリが満開の夏の朱雀の庭

平成7年(1995)に開園した梅小路公園。13.7ヘクタールの敷地には、いくつもの見どころが点在しています。公園の西側に広がる「朱雀の庭」は平安建都1200年を記念して作られた池泉回遊式庭園です。日本庭園には珍しく、ビオラやニチニチソウなど季節の洋花が取り入れられているのも特徴。もとは旧国鉄の貨物列車置き場だった場所ですが、豊かな緑と自然な勾配が作る地形からはそうした気配はまったく感じられません。

広大な敷地に憩いの場が点在「梅小路公園」写真01 広大な敷地に憩いの場が点在「梅小路公園」写真01

「朱雀の庭」には、中央に配された池を囲むように散策路が設けられています。反時計回りに進むと、まず通るのはアカマツ林。両側にアカマツが植えられた小道を歩いていると、葉が揺れる音や小鳥のさえずりが聞こえてくるでしょう。まちなかにいることをつい忘れてしまいそうになりますが、時折、すぐそばを走るJR在来線の列車の音や蒸気機関車の汽笛が。こうしたギャップもまた、この立地のおもしろさです。

広大な敷地に憩いの場が点在「梅小路公園」写真02 広大な敷地に憩いの場が点在「梅小路公園」写真02

斜面に作られた階段を下りると、そこには水鏡と呼ばれる大きな池が広がっています。水面には周りの景色がきれいに映り込んでいて、まるで鏡のよう。この景色は、底に張られた黒い御影石とわずか約1センチの水によって生み出される景観だとか。朝、昼、夕方と、光の加減で表情が変わるのも見どころだと言います。

広大な敷地に憩いの場が点在「梅小路公園」写真03 広大な敷地に憩いの場が点在「梅小路公園」写真03

庭の東側に近づくと、次第に滝の流れる音が聞こえてきます。滝が近くにあることは感じられますが、木々に隠れて姿はなかなか現しません。音は聞こえるけれど、目には見えない。これも庭を楽しむ仕掛けです。景色が開け、突如現れる滝は幅約1.5メートルで、高さは約6メートル。京都市内のまちなかにある滝の中で一番の落差を誇ると言います。春と夏は新緑、秋はモミジ、冬は雪景色と、季節ごとにさまざまな滝の風景を楽しめるのも魅力です。

広大な敷地に憩いの場が点在「梅小路公園」写真04 広大な敷地に憩いの場が点在「梅小路公園」写真04

滝のエリアに隣接するのは、「野筋」と呼ばれるゆるやかな起伏がある小さな丘。丘の間には小川が分け入りながら流れていますが、こうした地形は平安時代から作られて、往時は「曲水の宴」の行事が行われました。曲水の宴とは庭園に流れる小川に盃を流しながら和歌を詠む、雅やかな宮中行事をいまに伝えるもの。平安貴族に思いをはせるのも一興かもしれません。アカマツ林や滝、そしてこの野筋。歩みとともに、どんどん景色を変える「朱雀の庭」でのひとときを楽しんでみませんか。

広大な敷地に憩いの場が点在「梅小路公園」写真05 広大な敷地に憩いの場が点在「梅小路公園」写真05

「朱雀の庭」の東側に広がる「いのちの森」は、京都市初の復元型ビオトープです。「朱雀の庭」と同じく、もとは草も木もなかった場所にいきものの生息空間の再生を目指して作られました。

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草も木もなかった場所から、多くの植物や野鳥、昆虫が息づくようになった「いのちの森」。敷地を一周するように回廊が設置されています。回廊は地上約3メートルのところに作られているため、普段であれば見上げている枝や葉も目線の高さに。葉の形や色などに新たな発見があるかもしれません。木には、エノキやケヤキなどそれぞれの名前の札が付けられています。1本ずつ観察しながら、ゆっくり歩いてみてはいかがでしょうか。

COLUMN

かつての市民の足が
ユニークなショップ&カフェに

「市電ひろば」

「市電ひろば」に置かれている古い電車は、明治45年から昭和53年まで京都市内を走っていた「京都市電」の車両。ショップやカフェ、休憩所として活用されています。ショップではさまざまな電車グッズが販売されているほか、カフェには電車の吊り輪をモチーフにした「カタカタつりわぱん」といったユニークなメニューも。木の床やレトロなイスや窓枠など、電車ファンでなくてもちょっと心浮きたつ空間です。

スポット情報はこちらをご覧ください

「京都水族館」01 「京都水族館」01

2012年のオープン以来多彩な展示やイベントで楽しませてくれる「京都水族館」。京都市は海に接していない内陸に位置するため、日本でも数少ない100%人工海水を利用した水族館です。国の特別天然記念物であるオオサンショウウオがいる「京の川」や、京都府北部の海を再現した「京の海」など、京都にまつわる生き物について学ぶことができるのも特徴です。

「京都水族館」02 「京都水族館」02

2020年に新設されたのが、西日本最多の約20種5000匹のクラゲを展示している「クラゲワンダー」。クラゲが生まれてから大きくなるまでの成長過程を紹介した水槽や、約1500匹のクラゲが泳ぐ360度パノラマ水槽「GURURI」も見どころです。

「京都水族館」03 「京都水族館」04

館内のいたるところにあるディスプレイがユニークなのも京都水族館の魅力です。「ペンギン」エリアで暮らす59羽(2021年3月15日現在)のペンギン相関図や少年漫画風のオオサンショウウオの解説パネルなど、紹介方法が工夫されています。これを見てから生き物を観察すると、生き物がより身近に感じられるでしょう。

「京都水族館」05 「京都水族館」05

イルカスタジアムでは毎日パフォーマンスが行われ、ハンドウイルカの見事なジャンプやトレーナーとの息の合ったかけ合いが観客を魅了しています。イルカパフォーマンスが開催されていない時間帯もスタジアムには入場可能。プールの近くにいると、思いがけずイルカを間近で見られるかもしれません。そして、穴場スポットが観覧席の上段。イルカスタジアムの向こうには新幹線の線路や東寺の五重塔が見えます。この景色は、梅小路というロケーションならではです。

COLUMN

一年中楽しめる新スポット
屋外型アイススケートリンク

屋外型アイススケートリンク 屋外型アイススケートリンク

2019年12月にオープンした屋外型アイススケートリンク。スケート靴はレンタルが可能(有料)なので、気軽にスケートを楽しめるのが魅力です。氷上の歩き方、けがをしにくい歩き方・転び方、そしてスケートの滑り方を教えてくれるワンポイントレッスンも(有料)。冬季以外はノンアイススケートリンクになり、トランポリンなどの遊具が設置されたり、夏には子ども専用プールになったりと、さまざまなアトラクションが登場します。

PICK UP SPOT

「和菓子なごはん」で一休み

SLから新幹線まで鉄道の歴史に触れる 「京都鉄道博物館」

SLから新幹線まで鉄道の歴史に触れる「京都鉄道博物館」メイン写真 SLから新幹線まで鉄道の歴史に触れる「京都鉄道博物館」メイン写真
SLから新幹線まで鉄道の歴史に触れる「京都鉄道博物館」写真01

2016年に開業した3階建ての京都鉄道博物館に並ぶのは、SLから新幹線まで時代を駆け抜けた車両たち。見るだけではなく、鉄道の仕組みを学べたり、鉄道運行に関する仕事を体験できたりと、子どもも大人もわくわくできるスポットです。

SLから新幹線まで鉄道の歴史に触れる「京都鉄道博物館」写真03 SLから新幹線まで鉄道の歴史に触れる「京都鉄道博物館」写真03

日本ではここにしかないものが多いのも京都鉄道博物館の特徴。明治・大正・昭和三つの時代の国産蒸気機関車を目にできるのもこの施設だけです。1階で展示している明治の蒸気機関車は、明治35(1902)年に製造が開始された日本最初の量産型蒸気機関車。大正・昭和の蒸気機関車は、屋外にある扇形車庫で見学を。文字通り扇の形をしている国の重要文化財の車庫には、ずらりと約20の蒸気機関車が展示されています。タイミングが良ければ、中央にある転車台に載った機関車が向きを変えて車庫に入ったり、線路へと出ていく様子を見ることができます。

SLから新幹線まで鉄道の歴史に触れる「京都鉄道博物館」写真04
SLから新幹線まで鉄道の歴史に触れる「京都鉄道博物館」写真04 SLから新幹線まで鉄道の歴史に触れる「京都鉄道博物館」写真04

普段は見ることができない角度から、車両の構造を観察できる「かさ上げ展示」も

エントランスホールに入ってすぐの場所に展示されているのは、丸い先端部分が印象的な0系新幹線です。昭和39(1964)年の製造当時、世界最速を誇り、夢の超特急と言われていました。実は0系新幹線のトップナンバー(一番初めに造られた車両)がそろっているのもみどころです。窓ごしに車内を見ていると、今の新幹線よりも座席のサイズが小さかったり、景色を楽しみやすいように食堂車の座席が横並びになっていることに気づくでしょう。心躍らせながら新幹線に乗り込んだ当時の人々の姿が目に浮かぶようです。

SLから新幹線まで鉄道の歴史に触れる「京都鉄道博物館」写真05 SLから新幹線まで鉄道の歴史に触れる「京都鉄道博物館」写真05

さまざまな体験ができるのも京都鉄道博物館の魅力です。蒸気機関車が牽引する「SLスチーム号」では、往復1㎞の鉄道旅を楽しめます。大きな汽笛ともくもくと立ち上る蒸気を感じながら、心地いい揺れに身をまかせましょう。このほか映像や照明の演出にもこだわったジオラマ上演プログラムや、訓練さながらにお仕事体験ができる運転シミュレータもあります。運転手になったつもりで、出発進行!

SLから新幹線まで鉄道の歴史に触れる「京都鉄道博物館」写真06 SLから新幹線まで鉄道の歴史に触れる「京都鉄道博物館」写真06

鉄道ファンに特に人気なのが3階のスカイテラスなのだそう。本館3階の南側に、広々とした屋外展望デッキが設けられています。眼下にはJR京都線や東海道新幹線。行き交う電車や新幹線と京都タワーを一緒に写真に収めようとカメラを構える人も多いフォトスポットです。見て、体験して、触れながら、大人も子どもも鉄道の魅力を存分に楽しんでください。

PICK UP SPOT

隣り合う人々をつなぐ“ぽーっと”できる憩いの場「ぽて湯」