旅のカタチ

あの頃の京都旅

レトロな喫茶店や古くからある植物園、味のある古道具店、商店街などを巡って、青春時代に帰るような京都旅をご紹介。昔を思い出しながら、懐かしい気持ちで京都の街を楽しんでみましょう。あの頃の思い出や忘れていた気持ちがよみがえり、二人の関係も一層深いものになるはず。夫婦ならではの京都旅行をお楽しみください。

モデルコース

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PICK UP SPOTは、メインスポットの前後での立ち寄り先候補としてご紹介するスポットです。ぜひいろいろと組み合わせ、あなただけのオリジナルコースを作ってみてください。

老舗喫茶で名物の朝食を 「イノダコーヒ本店」

京の朝の定番メニューから優雅に一日をスタート

写真1:イノダコーヒ本店

「京の朝はイノダから」と呼ばれるほど、イノダコーヒの朝食は、京都人にとって定番のモーニング。昭和15年(1940)創業の歴史ある喫茶店で、地元の常連さんとともに、京都での一日をスタートさせてみてはいかがでしょうか。

広々とした空間が広がる本館。

写真2:イノダコーヒ本店

イノダコーヒは京都市内に8店舗を構え、地元の方をはじめ、多くの人に親しまれてきた喫茶店です。とくにクラシックな印象の「イノダコーヒ本店」は、本館、旧館、そして創業時の店舗を復元したメモリアル館から構成されています。まずは暖簾をくぐって、町家風の建物が印象的なメインの本館へ。吹き抜けの空間でシックなインテリアが落ち着いた雰囲気を演出する店内は、まるでホテルのロビーのよう。大きな窓の向こうには、自然光が心地よいテラス席も用意されています。

7つのゾーンで構成された観覧温室。植栽植物はなんと約4,500種類!

写真3:イノダコーヒ本店
写真4:イノダコーヒ本店
写真5:イノダコーヒ本店

旧館とメモリアル館は、本館と中で通じています。旧館は、特別に歴史を感じるレトロな空間。メモリアル館には、芸術家でもあった創業者・猪田七郎の絵画やコレクション、当時の写真がずらりと並びます。旧館とメモリアル館には、本館とはまた異なる趣があり、古くから喫茶店文化が根付いていたありし日の京都を感じることができるでしょう。

写真6:イノダコーヒ本店

イノダコーヒで名物となっている「京の朝食」は、ホテルで食べられるような朝食を目指して、約25年前につくられました。これを目当てに訪れる人も多く、開店と同時に満席になってしまうこともあるほどです。
プレートには、ドイツの伝統製法で作られたハム、ふわりとしたスクランブルエッグ、サラダなどがたっぷり。近くのパン屋さんで作られているサクサクのクロワッサンと、オレンジジュース、さらにはコーヒーもついてくる、ボリューム満点のセットです。コーヒーは、創業時から1番人気の「アラビアの真珠」。モカコーヒーをベースにした深煎り豆を使い、コクと酸味を絶妙なバランスで仕上げた香り高いコーヒーで、ミルクと砂糖があらかじめ入っているのが同店の大きな特徴です。

写真7:イノダコーヒ本店

本店は店自慢のブレンドコーヒーの豆やオリジナルグッズなど、土産品も充実している。

写真8:イノダコーヒ本店

手作りのスイーツも多くそろう。カフェタイムにも足を運びたい。

店にはほかにも、豊かな香りとさっぱりした味が特徴の「コロンビアのエメラルド」や、中南米産の豆を使用した深煎りのヨーロピアンタイプの「プレミアム」など、自慢のブレンドコーヒーが豊富にそろいます。豆は販売もされているので、お気に入りの味を持ち帰って、自宅でゆっくり楽しむこともできます。
イノダコーヒには、朝食のほかにも、創業時からの味を受け継ぐアップルパイ・チーズケーキなど、魅力的なメニューがたくさん。モーニングだけといわず、観光の合間に再び立ち寄りたい。京都で長年愛される老舗喫茶には、そう思わせる懐かしい空間が広がっています。

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京都の四季が凝縮 「京都府立植物園」

変わらぬ風景が懐かしい木漏れ日がさす並木道を歩く。

京都府立植物園 並木道

大正13年(1924)に開園し、公立の総合植物園として日本で最も古い歴史を持つ「京都府立植物園」。広大な敷地に、約1万2,000種類もの植物が植栽されています。古くから府民の憩いの場としても親しまれてきた植物園は、観光客がのんびり散策するのにもぴったり。美しい花々からは、見ているだけで元気をもらえることでしょう。
春は桜やチューリップ、初夏はアジサイやハナショウブ、夏はスイレンやヒマワリ、秋はコスモス、冬はサザンカなど、どの季節も見所はたくさん。特に春の桜、秋の紅葉は圧巻のスケールで、広々とした空間で四季を満喫しようと、毎年多くの見物客が訪れます。

芝生やベンチで思い思いにくつろぎゆったり流れる時間を楽しもう。

写真1:京都府立植物園
写真2:京都府立植物園
写真3:京都府立植物園

園内にはさまざまなエリアがありますが、樹齢100年近いクスノキが約90本並ぶ並木道は、古くから京都の人々に愛されてきた、植物園を象徴する風景です。昔話に花を咲かせながら並木道を散策した後は、その北側に広がる大芝生地へ。脇に立つカフェでは、飲み物や軽食を買ってひと休みすることもできます。
また、ばら園や沈床花壇などの洋風庭園も必見。ばら園では高雄や大文字、桃山といった京都にちなんだ名前のバラなど、約270品種が花を咲かせ、初夏と秋の2回見頃を迎えます。ばら園からは比叡山を望むことができるので、訪れた際は、名峰と美しいバラの花々の共演にも注目してください。

8つの部屋で構成された観覧温室。植栽植物はなんと約4,500種類!

京都府立植物園 観覧温室
写真4:京都府立植物園
写真5:京都府立植物園

1年を通して温度や湿度がコントロールされている観覧温室は、年中温かい、冬の穴場スポット。建物は、池に浮かぶ金閣寺と北山連峰のシルエットをイメージしたという、京都らしいデザインになっています。順路を進んでいくと次々と景観が変わり、熱帯の植物を中心にさまざまな植物が登場。国内初展示・初開花の植物が多く、食虫植物展などのユニークなテーマの展示会も人気となっています。このように、京都府立植物園は、訪れる度に新しい発見があるところ。何度目かの京都をのんびり楽しみたい夫婦におすすめのスポットです。

COLUMN

昭和の京都をたどる旅

イラスト:並木道

千年の都と呼ばれ、神社仏閣や老舗が風情ある街並みを形成している京都。しかし、それと同時に、京都は常に新しい文化を取り入れ続けている街です。繁華街では店の入れ替わりも激しく、数十年前の京都の風景は、意外と残っていないこともあります。そんななか、昔から変わらない景色が広がっているのが、京都府立植物園の一帯です。ゆったりと流れる賀茂川や緑の美しい北山連峰はもちろん、植物園のクスノキ並木は、大正13年(1924)の開園当時から変わらぬまま。変わったことといえば、木々が健やかに成長したことくらいでしょうか。植物園を歩けば、京都で学生時代を過ごした夫婦、結婚前に京都でデートをした夫婦、それぞれの思い出が蘇ってくることでしょう。また、昔ながらの商店街や銭湯にも、懐かしい情景が残ります。地域の交流の場でもあり、人々の暮らしの一部になっている場所では、昔から変わらない京都の日常に触れることができるでしょう。昭和時代の京都に目を向ける旅は、同じ時代を生きた夫婦ならではの楽しみ方かもしれません。

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PICK UP SPOT

レトロな商店街をぶらり旅

懐かしのアイテムを現代に

国登録文化財の銭湯へ

旅情を誘うレトロ喫茶 「六曜社 地下店」

静かな別世界に挽きたてのコーヒーの香りが漂う。

六曜社 地下店

京都は古くから喫茶店文化が根付く街。どこか懐かしい気持ちにさせる喫茶店で、マスターが淹れるこだわりのコーヒーを味わうのも、京都のおすすめの楽しみ方の一つです。人の往来で常に賑わう河原町三条の南東角にある「六曜社」が創業したのは、戦後まもなくのこと。刻一刻と変わる繁華街の街並みのなかにありながら、扉の向こうには時が止まったような別世界が広がります。河原町通りで戦後から続く店は大変珍しく、もはや京都の名所ともいえる喫茶店です。

自家焙煎のコーヒーと手作りドーナツは長年愛される相性抜群の組み合わせ。

十石舟を運航する濠川

ハウスブレンドコーヒー500円とドーナツ160円。

写真1:六曜社 地下店
写真2:六曜社 地下店

先代の父から店を受け継ぎ、マスターとして店に立つのは2代目の奥野修さん。店では奥野さんが自宅にある専用の小屋で焙煎した、自家焙煎のコーヒーをいただけます。注文を受けてから挽き、1杯ずつ丁寧にハンドドリップするコーヒーは香り豊かでフレッシュな味わい。「コーヒーの味の違いがわかるように」との思いから、コーヒーのメニューは浅煎り・中煎り・中深煎り・深煎りがそれぞれ数種類ずつ、バランス良くそろいます。人気の中深煎りのハウスブレンドコーヒーは4種類の豆を25%ずつ混ぜたもので、その種類は日々変わるそう。奥さんが毎日焼いているという名物のドーナツを始めとしたスイーツは、飽きのこない素朴なおいしさでコーヒーの味を引き立てます。コーヒー豆は販売しているので、気に入った味を自宅に持ち帰ることもできます。

1階の「六曜社 珈琲店」のオーナーは3代目となる息子さん。

外観:六曜社 珈琲店
外観:六曜社 地下店

「六曜社 地下店」が昭和25年(1950)に創業し、その15年後に1階の「六曜社 珈琲店」がオープン。同時に改装した地下店は、清水焼のタイル店が手がけたという緑がかった独特のタイルが印象的です。当時はバーとして営業していた地下店ですが、カフェブームが到来し、昔ながらの喫茶店が衰退し始めた1980年代の初め頃、コーヒーの自家焙煎を始めました。以来日中は喫茶店、夜はバーという現在のスタイルに。今でこそ自家焙煎のコーヒーを出す店は数多くありますが、当時はほとんど存在しなかったそう。現在へと続くコーヒーのサードウェーブの先駆けともいえる店なのです。古いようで新しい、京都の街を表すような喫茶店でこだわりの一杯を味わう、至福のひとときを過ごしてみてはいかが。

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