歌舞伎ってなんだろう?

歌舞伎は、1603年に出雲阿国が「かぶき踊り」を踊ったことがはじまりと言われています。2008年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。400年続く歌舞伎の歴史。100年ずつ、大きく4つにわけてその変遷をご紹介します。

  • 1603〜

    誕生の時代

    出雲阿国に続いて、遊女たちによる女歌舞伎、少年をスターにした若衆歌舞伎が生まれました。そして最後に登場したのが野郎歌舞伎。このとき、はじめて男だけで演じられるようになります。

  • 1700〜

    演劇として大成

    演じられる場が、観客席のうえに青空が見える野外劇場から室内劇場へと変わります。『忠臣蔵』『助六』などの代表的な作品が初演されました。

  • 1800〜

    作品の伝承

    歌舞伎の演技や演出が洗練され、作品が伝承されるようになっていきます。また、市川團十郎の「團十郎型」など代表的な「型」が生まれました。

  • 1900〜TODAY

    現代演劇から古典
    演劇へ

    ヨーロッパの近代演劇やテレビ、映画など新しいメディアが普及。歌舞伎はこれらと交流をはじめながら、古典演劇への道を歩み始めました。

歌舞伎のあれこれ

歌舞伎にはいろんな「お決まり」があります。その中の一部を、イラストで分かりやすく解説します!

※詳しく知りたい方は
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役柄のイラスト

立役たちやく

大人の男性の役のことを「立役」といいます。立役はとくに善人の役柄をいい、演技の内容により「実事(円満な常識を備えた捌き役)」、「荒事(超人的な力を持つ正義の武勇者)」、「和事(濡れ事を得意とする二枚目)」などに分類されます。また、男性の悪人のことは「敵役」といい、ほかにも道化(三枚目)、老役などの役柄があります。

女方おんながた

女性の役のことを「女方」といいます。「おやま」ということも。女歌舞伎が禁止され、女性が舞台に立てなくなったため、男性の俳優が女性の役も演じるようになったといわれています。

見得のイラスト
見得
衣裳のイラスト
衣裳
隈取のイラスト
隈取

江戸時代の電気がない暗い芝居小屋で、自分を目立たせるために顔を白く塗っていました。 「隈取」と呼ばれる、赤や青の太い線を描く歌舞伎独特の化粧は、暗い中でも遠くの観客にはっきりわかるよう、顔の表情を誇張して描いた表現です。化粧はメイクさんではなく、すべて俳優が自分でしています。

舞台のイラスト
幕

床がくるっと回るようになっている「廻り舞台」や、床が上下に動く「セリ」、客席後ろから舞台へと続く「花道」など、壮大な舞台装置(大道具)も魅力の一つ。「がんどう返し」といって、舞台の大道具を90度後ろにバタッと倒し、次の場面に転換するものもあります。
大道具は作品ごとの特注で、今でも手作り。ほとんどの大道具や仕掛けがその作品のためだけに作られます。また、組み立てやすくバラしやすいよう、分割式で作られています。

歌舞伎の音楽のイラスト

音楽や効果音は、すべて舞台上の演者による生演奏です。音楽は「唄物」と「語り物」で構成されます。舞台下手にある「黒御簾」の中で演奏される音楽を「下座音楽」といい、演奏されている様子は客席からは見えません。対して、舞台上で演奏され、俳優の演技と直接関係する音楽を「所作音楽」といいます。

地域の特色が現れる
「地芝居」にも注目!

山科こども歌舞伎
山科こども歌舞伎

有名な歌舞伎俳優に代表される、プロの役者が演じる歌舞伎を「大歌舞伎(おおかぶき)」というのに対して、地元の素人役たちによって演じられる、地方に根付いた歌舞伎を「地芝居(じしばい)」と呼びます。
江戸時代、プロの役者に憧れた一般市民が、プロの役者に芝居を習い、自分たちでも演じて楽しむようになりました。
現在の日本でも、多くの地にこの「地芝居」が残っており、各地に残る古い芝居小屋や祭事で、今もその地域の人々によって歌舞伎が演じられています。

漫画で見るはじめての歌舞伎

漫画家/イラストレーター・スケラッコさんに、歌舞伎を鑑賞いただきました。

「はじめての歌舞伎」

漫画:スケラッコ

(全4ページ)

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「歌舞伎」を
いつ見る!?

「歌舞伎」を
どこで見る!?

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  • 監修

    山田和人(同志社大学名誉教授)

  • イラスト・漫画

    スケラッコ

  • デザイン

    いわながさとこ

2017年11月 京都市文化市民局 文化芸術都市推進室 文化芸術企画課発行
「歌舞伎入門の入門」から一部抜粋して作成しました。

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見得

見得

物語の重要な場面や、感情の高まりなどを表現するために、ストップモーションのように演技をとめてポーズをとることを「見得」といいます。いわば歌舞伎のキメポーズ。見得にあわせてつけられる、バタバタと木を打ち付けるアクセントとなる音のことを「ツケ」といいます。

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衣裳

衣裳

色鮮やかな着物をはじめとする衣装も、歌舞伎の魅力のひとつ。衣装は、年齢や身分、地位を表しています。歌舞伎の衣装は全て手縫いです。

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隈取

隈取

隈取でも、筋の色や書き方によっていろいろ!
赤色:勇気・正義・力強さをもった英雄
藍色:悪役(なかでも、とくに悪い極悪人)
茶色:妖怪、物の怪など人間以外の不気味な役

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幕

歌舞伎の幕といえば、黒・萌葱・柿の3色。この幕のことは「定式幕」といい、芝居の幕開きと終幕に使われます。この引幕(手動で開け閉めされていることに由来)は、江戸時代に「江戸三座」と呼ばれる、幕府の許可を得た芝居小屋(中村座、市村座、森田座)にだけ許されていたものでした。明治以降は、おなじみの3色(森田屋のもの)がよく使われるようになりましたが、今でも、座によっては違った色の定式幕が見られることもあります。

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