旅のカタチ

レトロ建築の旅

京都の街で、レトロな西洋建築を巡る旅。近代建築の宝庫・三条通をはじめ、レトロ建築は京都の随所で発見することができます。なかには、カフェや料理店として現在も活躍中の建築もたくさん。一日のプランを決めたら、カメラを片手に、まだ見ぬレトロ建築に出合う旅に出かけましょう。カフェやランチタイムも、建築美にどっぷり浸れるコースを紹介します。

モデルコース

※右に横スクロールすると全体が確認できます。

PICK UP SPOTは、メインスポットの前後での立ち寄り先候補としてご紹介するスポットです。ぜひいろいろと組み合わせ、あなただけのオリジナルコースを作ってみてください。

PICK UP SPOT

昭和レトロな西洋菓子店

博物館の隠れ家カフェ 「前田珈琲 文博店」

旧日本銀行 京都支店の金庫室で優雅なカフェタイム。

写真1:前田珈琲 文博店
写真2:前田珈琲 文博店
写真3:前田珈琲 文博店

重要文化財でありながら、美術展や音楽イベントの場として広く活躍している京都文化博物館別館。もともとこの建物は、明治39年(1906)に日本銀行の京都支店として建てられたものでした。赤レンガに花崗岩(かこうがん)で作られた白い帯が映える外観、中に入ると登場する巨大な吹き抜けなど、威風堂々とした姿が見るものを圧倒するレトロ建築です。多くの人が足を運ぶ京都文化博物館別館ですが、かつて金庫室だった部屋を利用した前田珈琲の店舗があることを、知らない人も多いのではないでしょうか。金庫室の名残を思わせる壁は、なんと厚さが約1mあり、扉の中には、まるで隠れ家のような空間が広がっています。

別館の外観を鑑賞できるオープンテラス

写真4:前田珈琲 文博店

手作りのフードや菓子はコーヒーによく合う。

写真5:前田珈琲 文博店
写真6:前田珈琲 文博店

京都で多くの人に愛されている前田珈琲は、京都の喫茶の老舗・イノダコーヒから独立したお店です。前田珈琲のコーヒーも、イノダコーヒと同様に酸味が強いのが特徴。ブラックではなく、砂糖とミルクを入れるとちょうどよい味になるといわれています。

扉についたダイヤル式の鍵が金庫室の歴史を物語る。

写真7:前田珈琲 文博店
写真8:前田珈琲 文博店

博物館の帰りはもちろん、三条界隈の散策中に、休憩スポットとして活用するのもよいでしょう。金庫室だった往時の様子を想像しながら、どこかノスタルジックなコーヒータイムを過ごすのはいかがでしょうか。また、前田珈琲は「明倫店」でも、元明倫小学校だったレトロ建築を利用しています。小学校の教室を利用したカフェも、要注目です。 (撮影協力:京都文化博物館)

スポット情報はこちらをご覧ください

四条河原町のシンボル 「東華菜館 本店」

ヴォーリズ建築で北京料理に舌鼓。

写真1:東華菜館 本店
写真2:東華菜館 本店

ボーイの紳士的な振る舞いに、気分はまるでお嬢様。

写真3:東華菜館 本店

エントランスでは蝶ネクタイを締めたボーイがお出迎え。中に入ると、まるでタイムトリップしたかのような、レトロな空間が広がっています。本格北京料理が食べられるお店として名高い東華菜館ですが、もともとこのビルは、西洋料理店のため、大正15年(1926)に建てられました。設計を担当したのは、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏。学校や教会建築を数多く手がけた彼の、生涯唯一のレストラン建築です。戦時中、洋食レストランの存続が困難になり、北京料理のシェフの手に渡ったことから、東華菜館は始まりました。

ボーイさんのエスコートにドキドキ。

写真4:東華菜館 本店
写真5:東華菜館 本店

一番の見どころは何といっても、現存する日本最古のエレベーターです。大正13年(1924)のアメリカ製で、昇降は運転手による手動式。洋画に登場するような重厚な造りに、興奮しない人はいないはずです。さらに、5階建ての館内は、各階で全く異なる装飾が施され、見るものを飽きさせません。建築の意匠にあわせて、ヴォーリズ設計の椅子や花台、東華菜館がオープンする際に取り寄せた中国の調度品にも注目してください。それらのインテリアは、スパニッシュ・バロック様式の建築に見事に調和し、豪奢な雰囲気を盛り立てています。

写真6:東華菜館 本店
写真7:東華菜館 本店

開店から変わらない、伝統的な北京料理の味を堪能。

写真8:東華菜館 本店

京の街を一望できる屋上や、涼しげな景色が広がる鴨川納涼床は、夏季限定。開放的な空間で食事を楽しむのもおすすめです。あまりに立派な店構えに、尻込みしている方も多いかもしれませんが、一皿はとてもボリュームがあるので、アラカルトで注文すれば、決して手が届かないお値段ではありません。美しい建築を鑑賞しながら本格北京料理を心ゆくまで堪能するなんて、なんて贅沢な時間でしょう。京都旅行で、一度は足を運びたいスポットです。

PICK UP SPOT

扉の向こうは豪華客船

建築様式の集合体