2024年03月29日(金)
【京都の夜はBarが楽しい】おススメのナイトスポット 〜バー「アンカー」編〜
「一般社団法人日本ホテルバーメンズ協会」の京滋奈支部 支部長で、からすま京都ホテルのバー「アンカー」のマネージャー・森口仁さんにお話を伺いました。
関連記事)そもそもバーとは? メインバー「オルビット編」はこちら(リンク)
ホテルのバーにはメニューがあり、金額が明記されている
スポーツバーやスタンドバーなど様々なスタイルのバーがありますが、その中でホテルのバーを利用するメリットはどういった点なのでしょうか。「ホテルのバーにはメニューがあり、金額を表示しています。ホテルバー以外では品書きがない店もあり、注文したお酒が思いのほか高額だったということもしばしばあるようです。ホテルのバーではそういう心配はありません。」と森口さん。
確かに値段を気にしながらいただくのは避けたいもの。明朗会計、ふところ具合を気にせず安心してオーダーができるのがホテルバーの特徴でありメリットです。
バーと言えば「チャージ料」と呼ばれる席料が発生するお店が多いようですが、「アンカー」の場合はどうなのでしょう。
「当店はいただいていませんが、同じ京都ホテルグループのホテルオークラ京都のバーでは440円(税込)をいただいています。ホテルバーの場合、高層で夜景が楽しめるスカイラウンジや、音楽の生演奏があるようなところはチャージ料を設けている場合が多いです。」
チャージ料の有無や価格はそれぞれのお店によって異なります。気になる方は予めWebサイトか、電話で確認しましょう。
「アンカー」の店内。屋号は船のイカリという意味。
もう一つ、ホテルバーの魅力はフードにもあると森口さんは言います。
「ホテルのバーで提供するお料理は、ホテル内にあるイタリアンやフレンチなどのレストランで作られ運ばれてくることが多いですね。専門のシェフによる本格的な一皿がバーでも堪能できるのです。当店でも館内の『中国料理 桃李』で作られた『春巻』(3本1,200円)や『五目焼そば』(2,000円)などを召し上がっていただけます。ハイボールと合うんですよ。」
「アンカー」では、「シーフードとマッシュルームのアヒージョ」(1,600円)や、「ミックスピザ」(1,700円)など16種のフードメニューに加えて、19時45分までであれば『中国料理 桃李』の料理(13種)を注文することができます。ナッツなどの乾き物だけでなく、上質な食事がいただけるのもホテルバーならではと言えるでしょう。
人気のフードメニュー「ミックスピザ」(1,700円)
おすすめのウイスキー、カクテル。相場はいくらぐらい?
「アンカー」ではメニューに記載されているものだけでカクテル約40種、ウイスキー約60種があるほか、ビールやワイン、ソフトドリンクなどが用意されていますが、中でもバー初心者におすすめのお酒を伺いました。「ウイスキーでしたら『シーバスリーガル 12年』(グラス1,400円)ですね。モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたもので、やや癖はありますが飲みやすいタイプ。さらに飲みやすいものがお好みでしたら『サントリー知多』(グラス1,500円)ですね。以前、ウイスキーが苦手とおっしゃった方に『サントリー知多』でハイボールをお作りしたところ、おいしいと喜んでいただけました。」
ちなみにウイスキーを注文する時は「グラス」か「ボトル」を選びます。「グラス」とは1杯分のことで、「ボトル」とはウイスキーボトル1本分のことを指します。もちろん値段は「ボトル」の方が高額になりますが、たくさん飲む方にとってはお得感があります。
また、ウイスキー名の横に書いてある「10年」「12年」は熟成期間の目安を表します。同じ銘柄でも年数違いで味も価格も変わってきます。メニューに記載のない年代もののウイスキーもあるそうなので、興味のある方は気軽に尋ねてみると良いでしょう。
キューバ発の「ダイキリ」
「カクテルでしたらジンをベースにした『ジントニック』(1,300円)、『マティーニ』(1,500円)が定番ですが、ラム酒をベースとした『ダイキリ』(1,400円)も有名です。暑くなってくるとミントの葉を多めに入れた爽快感のある『モヒート』(1,500円)も人気が出てきます。」
取材当日は「ダイキリ」をいただきました。「アンカー」では、ラム酒にレモンジュース、シロップなどを加えてシェイクします。シロップの甘みの後からラム酒の苦みがほんのり広がる1杯。後味はさっぱりとしていて、甘み、レモンの風味、苦みが一体となったおいしさでした。シェイクしすぎると水っぽくなり、逆にシェイクが足りないと味にばらつきが出る。振る回数、振り方にもコツがあると森口さんはおっしゃいます。
「同じ名前のカクテルでも店によってレシピが違いますし、作るバーテンダーによっても味が変わってきます。でも、それがカクテルの奥深さであり、おいしさだと思います。機械ではなくヒトが作るから少しずつ違って面白い。だから、いろんな店を訪ねてお気に入りの1杯を探していただきたいですね。」
源氏物語をテーマにしたモクテル
近年はフレーバーシロップを用いたノンアルコールのカクテルを「モクテル」と呼び、年々、その種類も増えているのだとか。「アンカー」でも季節に合ったオリジナルモクテルを創作し、提供されているそうです。
相場は「アンカー」の場合モクテルは1,000円〜、カクテルは1,300円〜、ウイスキー(グラス)は1,500円〜です。店やお酒の種類によって価格は異なりますが、1杯につき1,000円〜2,000円と考えておくと良いでしょう。
バーを訪れる時に注意したい3つのこと
「バーテンダー」の語源は「bar(酒場)」と「tender(世話役)」と言われています。つまりバーテンダーは、お酒の提供だけではなく、居心地の良い店の雰囲気づくりにも注力しています。「時々、カウンターに座ってずっとスマートフォンを見ておられるお客様もいますが、できるだけ話しかけるようにしています。また、カウンターで隣同士になったお客様が何かのきっかけで会話が弾むこともあれば、一方が迷惑に思うケースもある。そういう時は僕たちがさりげなく間に入って、互いが不快にならないよう取り計らうこともあります。バーテンダーはお酒の知識や高度なスキルが必要とされるだけでなく、お客様一人ひとりの様子を見て、気を配り、時に声をかけコミュニケーションをはかりながら、安心して飲んでいただける快適な空間づくりも大事な仕事なのです。」
せっかくのバー、非日常の時間ですからスマートフォンを見るのはやめて、バーテンダーさんと会話をするのも楽しいものです。奥深いお酒の世界、新たな京都の一面を知るきっかけにもなるでしょう。
しかし一方で、次の3つについてはバーテンダーさんでもコントロールが難しいのだとか。客側である私たちが留意したいところです。
■バーを訪れる時に注意したいこと
1)香水は控えめに
お酒の香りも味わいの一つ。周囲の方が迷惑に感じるほどの香水をつけるのはやめましょう。
2)乾杯ではグラスを当てない
バーで使用するグラスは薄いものが多く高価です。グラス同士を「カチン!」と当てるとグラスが欠けたり、割れることがあります。乾杯はグラスをやや持ち上げる程度にとどめておきましょう。
3)政治、宗教、スポーツの話は控えめに
お酒の席では、意図せずトラブルの原因になることもあるテーマです。同伴者と控えめに話すのは問題ありませんが、声高になるのはやめましょう。
その他、前回の「オルビット編」でも記載した「大声で騒ぐこと」「泥酔するような飲み方」など、周囲に迷惑となる行為はNGです。また、バーテンダーさんを「バーテン」と呼ぶのも乱暴なのでやめましょう。
森口さんの胸には「マスターバーテンダー」のバッジ
最後に、バーテンダー歴23年の森口さんにお仕事のやりがいについて尋ねました。
「私が作ったカクテルやおすすめしたお酒を飲んで、おいしいものを教えてくれてありがとう、来てよかった、と言ってもらえた時は本当に嬉しいですね。駆け出しの頃はお出ししたものを突き返されたこともありましたよ。でも伝えてくださるだけありがたいと思って勉強と挑戦を繰り返して今に至ります。」
そうした経験を糧に現在森口さんは「アンカー」はもちろん、「日本ホテルバーメンズ協会」でも本格的なバーのありようやカクテルを中心とした飲料文化の発展、新人バーテンダー育成のために尽力しているそうです。
森口さんの胸には、「日本ホテルバーメンズ協会」が認定する最高峰の称号「マスターバーテンダー」のバッジが光っていました。
「日本ホテルバーメンズ協会」では定期的に講習や試験を実施しています。活動についてはご興味のある方はWebサイトをご覧ください。
一般社団法人日本ホテルバーメンズ協会/HBA-Hotel Barmen's Association. Japan
本格派バーのあり方とカクテルを中心とした飲料文化の発展・育成を目的とした協会。全国に12支部あり、ホテル勤務を中心とする全国のバーテンダー約1,400人が所属する。
https://www.hotel-barmen-hba.or.jp
協会に加盟している京都市内のおススメバーを一覧でご紹介しています。
【京都の夜はBarが楽しい】京都市内おススメBarリスト
https://ja.kyoto.travel/tourism/article/asakanko-yorukanko/post/single.php?id=437
基本情報
バー アンカー【住所】京都市下京区烏丸通り四条下ル からすま京都ホテル地下1階
【営業時間】17:30~23:30(L.O. 23:00) ※月・火曜は休業/ 水~日曜のみ営業
【席数】37席(カウンター7席)
※店内禁煙
※特別な記載がない限り金額は消費税・サービス料込。
※2024年3月取材時点の情報です。
ライター情報
五島 望東京都生まれ、京都在住のフリーランスライター・企画編集者。京都精華大学人文学部卒業後、東京の出版社、京都の編集プロダクション勤務を経て今に至る。紙媒体・Webサイト制作、SNS運用なども手掛ける。