2024年03月22日(金)
【京都の夜はBarが楽しい】おススメのナイトスポット 〜メインバー「オルビット」編〜
“京都”と言えば歴史ある寺院・神社の参拝や古い街並みの散策といった昼間の観光がクローズアップされがちですが、夜にも沢山の楽しみ方があります。その一つがバーです。
「ちょっと敷居が高いな」と感じるかもしれませんが、思い切ってドアを開けてみてください。新たな京都の魅力が見えてくるはずです。
バーテンダーの育成や酒文化の発展への貢献を目的に活動している「一般社団法人日本ホテルバーメンズ協会」にご協力をいただき、その魅力を取材しました。
そもそもバーとは?
長いカウンターのことを“バー”と呼んだことが由来ともいわれている。今はシンプルに、洋酒やカクテルなどを飲むことを主とした場で、カウンター越しにバーテンダーがカクテルなどをつくる様子を見ることができるのもバーの特徴の一つと言えます。■主なバーの種類
・オーセンティックバー…お酒の専門的な知識をもった熟練のバーテンダーがいる店。
・ショットバー…お酒はグラス1杯単位(1ショット)で提供する店。ボトルキープができない。
・スタンディングバー…店内に椅子がなく、立ったままお酒を楽しむ店。
・ミュージックバー…お酒と共に音楽も楽しめる店。
・スポーツバー…テレビでスポーツ中継を見ながらお酒が飲める店。
このほかにワインバーや日本酒バー、焼酎バーといった一部のお酒に特化したものや、ビリヤードやダーツなどのアミューズメントが楽しめるバーもあります。
バーテンダー歴20年の中山さん
今回は、日本ホテルバーメンズ協会 京滋奈支部 副支部長で、ホテルグランヴィア京都のメインバー「オルビット」中山陽子さんにお話を伺いました。
中山さんが長年カウンターに立つメインバー「オルビット」は、オーセンティック(真正・本物の)バーと呼ばれるジャンルのバー。フロアの奥まったところに秘めやかに佇む隠れ家的な雰囲気を漂わせ、インテリアも重厚で格調高く、BGMや照明が控えめであることも特徴です。
バー初心者にとっては「スタンディングバー」のようなカジュアルな店の方が入りやすいように思いますが、ホテルのバーを利用するメリットはありますか?
「当店でも、『入っていいですか?』とおそるおそるドアを開けられるお客様もいらっしゃいます。でも、こうした入りにくい店のつくりには、ちゃんとした理由があるのです。それは“非日常の世界で、時間を忘れて楽しんでいただく”ということなのです。
そしてホテルのバーを利用するメリットは、何より『明朗会計』。そして秩序が保たれていますから『安全』ということに尽きます。」
窓のない、ともすれば閉鎖的な印象の店内ですが、日常という外界ときっぱりと隔てて、ゆったりとお酒を楽しむ場、空間を演出しているのだそうです。
「一般的に正統派のバーには時計がありません。当店には大きな振り子時計がありますが、あえて時間を止めてあります。バーテンダーも腕時計は着けません。旅行で京都を訪れた方にとって1分1秒が大切な非日常の時間。その大切な時間が豊かなものであって欲しい、という想いのあらわれです。」
高級感漂う店内
バーで気をつけたいこと。ドレスコードって何?
バーを訪れるときに気をつけたいポイントはどういったところなのでしょうか。「大声で騒いだり、別のお客様と無理やり一緒に飲もうとする行為があった時はご遠慮いただくようお声がけさせていただいていますが、これはバーに限らずどのお店にも共通することだと思います。バーならではのマナーと言えばドレスコードではないでしょうか。当店も男性のノースリーブシャツとサンダル履きの方には入店をご遠慮いただいています。」
■バーでの主なNG行動
・大声で騒ぐこと
・別のお客様を誘って、無理やり一緒にお酒を飲もうとすること
・泥酔するような飲み方をすること
・ドレスコードに違反した服装
ドレスコードとは場所やシチュエーションなどに適した服装のことで、女性のノースリーブやサンダル履きは問題ないのですが、袖がないシャツは正式な服ではないというイギリスの考え方からきており、男性のそうした装いは“下着”という捉え方なのだとか。サンダル履きが快適な夏季は特に注意したいところです。
オーセンティックバーにはドレスコードが設けられていることが多いので、あらかじめWebサイトか電話で内容を確認しておくと安心でしょう。
フードメニューも充実。写真はオルビットの人気メニュー「カツサンド」
オーダーの仕方、バー定番のお酒、ノンアルコールもあるの?
バーではどんなカクテルやお酒を、どのようにオーダーすれば良いのでしょうか。また、強いお酒が苦手、お酒が飲めないという方はどうなのでしょう。バーの定番カクテルからノンアルコール、注文方法について尋ねました。「日本人、外国人のお客様を問わず、当店で一番注文が多いのは『ジントニック』ですね。居酒屋などにおける“とりあえず生ビール”という感覚に近い定番のカクテルと言えると思います。近年はクラフトジンがブームで、旅先でご当地ジンを楽しむ方も増えています。海外のお客様で『京都産のジンでジントニックを』とオーダーされる方も多いですよ。他にも国内外のさまざまなジンを扱っているので、産地や味わいの詳細はお気軽にバーテンダーやスタッフに聞いてください。」
季節のおすすめカクテルもあります
同店のメニューには「ジントニック」をはじめとしたカクテルがおよそ50種ありますが、それ以外にもお客様の気分や好みに合ったカクテルをその場で作ってもらうこともできます。強いお酒が苦手な方にはアルコール度数が低いものを、お酒が飲めない方には青リンゴやバラなど、およそ100種のフレーバーシロップの中からジュースなどを組み合わせたノンアルコールカクテルもつくってもらえます。
「甘口、辛口、好みのフルーツ、炭酸で割るのかフローズンタイプにするのか、など、気軽に好みをおっしゃってください。加えて普段どんなお酒を飲んでいるのか、酎ハイ1缶を飲むと酔っ払ってしまう、とか。具体的なヒントをいただけると、よりお客様の好みに近づけると思います。」
カクテルレシピは何千とあり、メニューに記載されているのはそのごく一部なのだとか。日々増えていくカクテルレシピを覚えるのが大変そうですが、「お酒の種類が増えるのが幸せです」と中山さんは笑います。
小さなバラが添えてある「リュミエール」
そんな中山さんが一番得意とするカクテルは「マティーニ」(1,350円~)。“カクテルの王様”とも称されるもので、毎日のように彼女がつくるマティーニを飲みにくる常連さんもいるそうです。
また、「リュミエール」(1,750円)は中山さんとともに働くオルビットの支配人がグランプリを受賞した同店オリジナルのカクテル。香りと共に、ややコクのある品の良い甘さの後からレモンやシャンパンの爽快な味わいが広がる1杯です。
気になるお値段。チャージ料金とは?
バー初心者にとって、お値段は一番気になるところ。「オルビット」では、どうなのでしょうか。「どのクラスのお酒を飲むかで値段はまったく変わってきますが、当店ではWebサイトに、『生ビール1,100円〜 カクテル1,350円〜』と、最低価格を記載しています。フードの種類、お値段もしっかりと明記しているので、そういった意味でもバー初心者の方は安心してお越しいただけると思います。チャージ料金はいただいていないので、シンプルにWebサイト記載のお値段を目安にしてください」
チャージ料金とは「席料」とも呼ばれる料金システムで、会計時に飲食代に加算するお店もあります。バー初心者にとっては不安なところでもありますが、「オルビット」のようにチャージ料金をとらないところもあるそうです。
「一般的なバーであれば、チャージ料金はだいたい数百円だと思いますが、立地や外資系ホテルなど、お店によっては異なるようなので、あらかじめ電話で問い合わせることをおすすめします。“そんなことを聞いてもいいのですか”というお客様もいらっしゃいますが、来店を検討されているお客様からのお問い合わせです、大歓迎ですよ。」
華麗な所作でお酒を注ぐ中山さん
最後に、「オルビット」での楽しみ方を聞きました。
「来店の際はぜひカウンターに座ってバーテンダーの手さばきを見ていただきたいですね。次から次へと入るオーダーに対して速やか、かつ美しい所作でシェイキングするさまも味のうちですから。実は日本のバーテンディングというのは世界的にも評価が高く、注目されています。特にホテルのバーは熟練のバーテンダーが多いので、世界に誇る技を間近でご覧いただけますよ。」
バーテンダーとの会話も楽しみの一つ
手際よくカクテルが作られていく様子を眺めながら、おすすめの観光スポットを聞いてもよし。もう1軒飲みに行きたいなという方は、おすすめの店を教えてもらうのもよし。インターネットでは知りえない新たな京の魅力、情報が飛び出すことがあるかもしれません。京都の夜は“バー・ホッピング”(バーのはしご)もおすすめです。
一般社団法人日本ホテルバーメンズ協会がおススメする京都市内のバーを一覧でご紹介しています。
【京都の夜はBarが楽しい】京都市内おススメBarリスト
https://ja.kyoto.travel/tourism/article/asakanko-yorukanko/post/single.php?id=437
基本情報
メインバー「オルビット」【住所】京都市下京区烏丸通塩小路下ル JR京都駅中央口
ホテルグランヴィア京都2階
【営業時間】17:00~24:00(ラストオーダー 23:30)
【席数】62席
※男性のお客様のノースリーブシャツ及びサンダル履きでのご利用はご遠慮ください。
※バータイムの未成年の方のご利用はご遠慮ください。
ライター情報
五島 望東京都生まれ、京都在住のフリーランスライター・企画編集者。京都精華大学人文学部卒業後、東京の出版社、京都の編集プロダクション勤務を経て今に至る。紙媒体・Webサイト制作、SNS運用なども手掛ける。