夜観光のススメ

2022年03月28日(月)

夜観光

京都市ビジターズホストがおススメする「夜桜スポット3選」

幻想的な雰囲気に浸りながら夜桜を楽しむ
提灯や灯篭の明かりによって彩られる桜から特別拝観でライトアップされる桜まで、京都には様々な形で夜桜を堪能できるスポットがあります。古都ならではのしっとり落ち着いた雰囲気に浸りながら、幻想的な夜桜を楽しんでみませんか?


夜桜スポット その①大石内蔵助 閑居の地に咲く枝垂れ桜
まず初めにご案内するのは、洛東の山科にある大石神社の御神木・大石桜。献灯に照らされた枝垂れ桜は独特の趣があります。戦前から境内に植えられており、樹齢90年を超える御神木の枝垂れ桜は、献灯提灯と鳥居の裏側から長い枝を伸ばし、参拝者を迎えてくれます。



大石神社の御祭神は、主君の敵を討ち、武士の本懐を遂げた赤穂浪士・大石内蔵助。赤穂浪士が藩主の雪辱を見事に果たしたことから、お参りすると「大願成就」のご利益があると言われています。その大石内蔵助が隠遁していたと伝えられるのが山科。吉良邸討ち入りが決行された12月14日に行われる年中行事の「義士祭」は京都の冬の風物詩で、この日の境内は多くの人で賑わいます。この地で仇討ちの機会をうかがっていた内蔵助は、冬の間につぼみをつけて春を待つ桜の姿と重なります。



献灯が灯り始める少し早い時間帯から訪れると、日中、神社で飼われているファラベラ・ミニホースの「花子」に出会えるかもしれません。夕暮れ時にはお家へ帰るので夜間は境内にはいませんが、時間に余裕がある方は、早い時間帯から訪れて、神馬の花子と一緒にお花見をされてはいかがでしょうか。
大石桜は京都では比較的早咲きの桜です。境内にはソメイヨシノも植えられていますが、ぜひ御神木の大石桜が開花している時期に訪れてみてください。

〇イベント情報
桜ライトアップ
【期間】2022年3月29日(火)~2022年4月3日(日)頃まで
    ※見ごろが終われば早期終了の可能性あり
【時間】19時頃~21時頃
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基本情報

大石神社
【所在地】京都市山科区西野山桜馬場町116
【アクセス】京阪バス「大石神社前」下車、徒歩約2分 



夜桜スポット その② 春の訪れを告げる平野神社の 魁桜(さきがけざくら)
京都の早咲きの桜で外せないのが、平野神社の魁桜(さきがけざくら)。様々な種類の桜が咲く平野神社ですが、中でも一番有名なのが、文字通り他の桜に先駆けて咲く魁桜です。神社の献灯と提灯が灯り始める時間帯に訪れると、桜の神紋と共に神秘的な雰囲気の中でお花見を楽しむことができます。早咲きの桜は、うっかりしていると、もう見頃が終わっていたということがありますので、この魁桜をお見逃しないように。



〇イベント情報
桜ライトアップ
【期間】2022年3月25日(金)~2022年4月17日(日)
【時間】日没~21時
  ※詳しくはこちら
 

基本情報

平野神社
【所在地】京都市北区平野宮本町1
【アクセス】市バス「衣笠校前」下車、徒歩約2分



夜桜スポット その③ 唯一無二の美しさを誇る東寺の 不二桜
最後にご紹介するのは、京都の夜桜の名所、東寺。弘法大師、空海の「不二の教え」から名付けられた不二桜は、その名に相応しい他に二つとない幻想的な美しさで、春宵の参拝者を魅了します。五重塔を背景に夜桜を楽しむのが定番ですが、境内が広いので、様々な場所から好みの構図で眺めたり、写真を撮ったりすることが出来るのが東寺の夜桜の魅力のひとつです。



瓢箪池に映える五重の塔と夜桜。夜間拝観では五重塔が下から黄色のスポットライトに照らされ、建築の細部が際立ちます。



高さ55メートルで木造建造物としては日本一の高さを誇る五重塔。通常非公開の内部に密教の大日如来に見立てられた一本の心柱が各層を貫いていますが、この五重塔独自の構造は耐震性を高める役割をも果たしているそうです。
不二桜はかつて岩手県盛岡市の旧家に植えられていましたが、後に三重県鈴鹿市の鵜飼農園に移され、その後、2016年に現在の場所に植えられました。東寺の夜桜拝観は2011年東北大震災の年から、不二桜の生まれ故郷である東北の被災地への祈りを込めて始まりました。不二桜は台風で枝が折れるなど被害を受けましたが、その後も毎年春には花を咲かせ、参拝者の心に安らぎを与えています。

〇イベント情報
夜桜ライトアップ(金堂・講堂夜間特別拝観)
【期間】2022年3月19日(土)~2022年4月17日(日)
【時間】18時~21時30分(受付は21時まで)
【拝観料】大人・高校生1,000円 中学生以下500円 
  ※詳しくはこちら
 

基本情報

教王護国寺(東寺)
【所在地】京都市南区九条町1
【行き方】近鉄電車「東寺」駅下車、徒歩約10分
     市バス「東寺東門前」下車すぐ


 

ライター紹介

田中 功一(たなか こういち)
京都市ビジターズホスト、全国通訳案内士(英語)。
写真だけでは伝えきれない京都の魅力をご紹介出来れば幸いです。
写真撮影:筆者
Instagram:@koichi_kyoto_tour_guide