丹波栗
丹波栗
丹波は飛騨などと並び、江戸時代には栗の産地として名を馳せていました。当時の文献には、鳥の卵ほどの大きさと書かれているように、この地方の栗は大きいことで有名だったようですが、実際の種類はいろいろ。伝統的なのが「銀よせ」です。中くらいの粒で、ほくほくした食感は栗ご飯に適しているといいます。この銀よせという名前には言い伝えがあり、なんでも、栗を売ると、熊手でかきあつめるほどお金が貯まったとか。きっと凶作に見舞われたときなど、暮らしを支えてくれたのでしょう。栗はそのままでもおいしく、あく抜きのいらない木の実です。砂糖をたっぷり使った菓子が手に入らなかったころは、栗はまさに菓子でもありました。あの千利休の茶会にも頻繁に使われ、茶の湯の世界で好まれました。当時、そういう京坂地域での需要をまかなったのが丹波栗だったようです。