夜観光のススメ

2025年03月04日(火)

夜観光

【京都・夜観光のススメ企画(②夜のカフェ・スイーツスポット)】京都の個性派夜喫茶で、スイーツ&食事を満喫 第1回 ~「喫茶FRONT」~

夜喫茶としてリスタート! 昭和レトロな喫茶店で“夜スイーツ&夜ランチ”


神社仏閣や、絶景、お目当てのランチ&カフェなど、日が暮れるまで京都めぐりをめいっぱい楽しんだあとは、旅の第二幕・夜時間のはじまりです。夜ごはんを食べてもよし、スイーツを楽しむのもよし、ひとりでも居心地がよく駅やバス停からも近い、夜喫茶をご案内しましょう。第1回は、「喫茶FRONT」。昭和の面影を残すレトロな空間と、名店での料理修業を経たマスターが腕をふるう、“夜ランチ”やスイーツを堪能しましょう。


  
「喫茶FRONT」は、旅のターミナルとなる京都駅から北西方面に4kmほどの西院エリアにあります。最寄り駅の阪急京都線西院駅からは四条通を西へ徒歩約1分、「深夜喫茶」の文字とコーヒーのイラストが描かれた提灯が目印です。人気店ゆえ満席の場合も少なくありませんが、月・火・木曜の遅めの時間は比較的空いているとのこと。

半世紀の時を紡いできた、趣ある店内

以前は多くの喫茶店同様夕方までの営業でしたが、コロナ禍の2022年、日付が変わる24時まで営業の“深夜喫茶”に変身。遅い時間でもふらりと訪れてしっかり食事ができるごはん処として、ディナーや飲み会の後の2軒目、3軒目として、界隈の夜時間に欠かせない一軒となっています。
ステンドグラスのライトが照らす店内は、ノスタルジックな雰囲気。車やバス、人の絶えない目抜き通りに面していながら、一歩中に入れば喧騒から離れたゆるやかな時間が流れています。

 

 

インテリアもほぼ創業当時のまま。「生地は貼り替えましたが、椅子も創業当初のものです。壁はもともと白かったのですが、昔は喫煙OKだったのでいい感じの色あいに変わりましたね」と2代目マスターの苗村健史さん。

 

健史さんにとって幼い頃から慣れ親しんだご実家でもあるこの場所で、ご両親が最初に始めたのは洋食店。途中で喫茶店に変わってから、半世紀の時が経ちました。健史さんが亀岡にあったイタリアンの名店での修業を経て店を継いだのは26歳のとき。今から二十年前のことでした。


「夜LUNCH」1,200円。ドリンクと一緒に注文すると200円引きになる

毎日食べたい、栄養満点の「夜ランチ」


おすすめは、「夜ランチ」。2種から選べるメイン、おばんざい3種、サラダ、ごはんが付いた定食で、この日は、ネギ塩だれの唐揚げ、バジル風味のポテトサラダ、ツナ、小松菜、エノキの煮物、長芋と菜の花のマスタード和えでした。野菜が多めで栄養バランスも良く、ごはんは無料で大盛りにしてくれるのもうれしいところ。飾らない日常の献立でありながらも、一品一品ていねいな仕込みがうかがえて、お腹も心も満たされるおいしさです。

「料理修業をしたイタリアンとはジャンルも使用する食材も異なりますが、火の入れ方や、お客さんに食べていただく時間に合わせたベストなタイミングを見極めて行う“塩”の加減は、修業時代に学び得たものです」と健史さん。


「ほろ苦キャラメルのカスタードプリン」500円

人気メニューの「ほろ苦キャラメルのカスタードプリン」は、牛乳、卵、砂糖、香りづけのバニラオイルのシンプルな素材で作った自家製プリン。卵黄を多めにしつつ、鹿児島・喜界島産の希少なきび砂糖を使うことで、深みのある甘さとコクが感じられるように仕上げているそう。「小さいお子さんが来ない夜にオープンする店なので、キャラメルソースはビターに。プリンを盛り付けるときに、別に作っておいたキャラメルソースもかけています」

  「クリームソーダ」各700円

ドリンクは、京都の玉屋珈琲店の豆で淹れるコーヒーのほか、紅茶、ハーブティー、ソフトドリンクなど充実のラインアップ。喫茶店の王道メニューであるクリームソーダは、定番のメロンをはじめ、レモン、ローズ、ライチ、キンモクセイ、ラズベリー、グァバ、ピンクグレープフルーツ、ブルーキュラソーの全9種(!)が揃います。この日注文したのは、メロンとピンクグレープフルーツ。メロンソーダの上には定番のバニラアイスが、ピンクグレープフルーツジュースの上には、ヨーグルト味のアイスクリームが浮かんでいました。
ほかに、「夜のアイスコーヒー」、「大人のバナナジュース」、「夜のレモンスカッシュ」など、洋酒をちょっぴり加えたカクテルも用意されています。


 
「平日にランチを提供していた頃は、仕事の合間を縫って慌ただしく食べて帰っていくお客さんの姿をよく目にしましたが、夜営業になった今は、遅い時間までずっとひとりで本を読んでいるような、ゆったりとした光景を目にします。また、学生時代以来20年ぶりに来ました! と声をかけていただいたり、生活スタイルが変わって遠方に引っ越して行かれた方が、旅行鞄を持ってふらりと来店してくださったりするようなとき、店を続けていて良かったと喜びを感じます。昔ながらの喫茶店として、近所の方々にとって隠れ家のような存在であれたらいいですね」


 
レジ前に置かれていたスタイリッシュなデザインのマッチは、初代が店で提供していたマッチ箱を復刻したもの。マッチ屋さんが昔のものが出てきたよと声をかけてくれて復刻に至ったそう。

昭和の香りを残す空間と2代目マスターの新しい感性とが共鳴する、居心地のいい一軒。一度訪れたらきっと再訪を誓いたくなることでしょう。

 

今回のスポット基本情報

【店名】喫茶FRONT(きっさフロント)
【電話】075-312-1619
【住所】京都市右京区西院巽町3
【アクセス】阪急西院駅から徒歩1分
【営業時間】18:00~24:00(L.O. 23:00)、土曜は喫茶とデザートのみ19:00~24:00(L.O. 23:00)
【定休日】水曜、その他不定休
【外国人対応】英会話のできるスタッフがいる
【子ども同伴】可
【タバコ】禁煙(店外に喫煙スペースあり)
【写真撮影】可
【バリアフリー】一部対応(詳細は要問合せ)
【多言語対応メニュー】なし
【支払方法】現金、PayPay
 ※特別な記載がない限り金額は消費税・サービス料込
 ※2025年3月取材時点の情報です。

今回の記事の読者特典

オーダー時に「『夜観光のススメ』を読んだ」と言っていただいた方に、「バニラアイスクリーム」をプレゼント
※2025年9月30日まで有効


ライター・カメラマン情報

ライター:佐藤 理菜子
築90年を超える国指定・登録有形文化財の京町家を拠点に京都の魅力を発信する株式会社らくたびに所属。猫と日本酒をこよなく愛する、旅行情報誌やWEBの編集&ライター。神社&お寺、レトロ建築、苔庭、水辺の風景、和菓子店めぐりも好む。

カメラマン:マツダナオキ
富山県生まれ、東京都内の撮影スタジオで3年間スタジオマン経験後フリーランスのカメラマンに。13年前に縁もゆかりもない京都に移住。カフェ撮影を得意としつつ人物、料理、風景、建築などオールマイティにこなす。

今回の記事制作担当

株式会社らくたび