夜観光のススメ

2023年10月27日(金)

夜観光

京都・夜観光 エンタメのススメ 〜関西のお笑い文化に浸り、たくさん笑ってリフレッシュ〜 よしもと祇園花月「よるよる新喜劇」

京都で過ごす夜、芸術・文化などのエンタメ観賞を楽しみませんか?
初めての方も楽しめるよう工夫された能や狂言の舞台を始め、京都の多彩な文化・芸術を楽しめる公演をご紹介します。第4回は『よしもと祇園花月 よるよる新喜劇』。理屈抜きのドタバタ喜劇が人気の『吉本新喜劇』は、昭和の昔から関西の人々にこよなく愛され続けている舞台です。




主催するのは、人気お笑い芸人が数多く所属する吉本興業。通常は漫才や落語とセットになっているプログラムですが、「よしもと祇園花月」では、夜のひととき新喜劇だけをピンポイントで楽しめるチャンスがあります。その名も『よるよる新喜劇』。楽しさ満載の舞台へ出かけてみませんか。


 

関西で深く愛される喜劇集団

吉本新喜劇は、2024年に創立65周年を迎える喜劇集団。設立時より毎週地元テレビ局で放送され続けていることもあり、関西では大人から子どもまですべての世代に大変親しまれている人気の舞台です。「徹底的なドタバタをやる」「理屈は抜きにする」「悪者は出さない」「物語はシンプルに」を基本に据えたお芝居は、ひたすらに楽しい内容。すっちー、酒井藍、アキ、吉田裕の4人の座長が率いる舞台が週替わりで上演され、個性強めの役者たちが息のあったお芝居やギャグを披露して笑わせてくれます。



そんな吉本新喜劇の本公演は現在2拠点で開催されており、そのうちのひとつが京都祇園に平成23(2011)年オープンした「よしもと祇園花月」です。吉本というと大阪のイメージが強いのですが、よしもと祇園花月以前にも昭和37(1962)から25年間にわたって新京極で「京都花月劇場」が営業されており、実は京都は古くから吉本新喜劇とゆかりある土地なのです。

 

新喜劇だけを単体で楽しめるレア企画 

本公演は1日2回。漫才や落語が1時間、その後に新喜劇1時間がセットになっています。夜は企画イベントや芸人の単独ライブなどが開催されており、新喜劇だけを単体で楽しめる『よるよる新喜劇』もその中のひとつです。
「年末年始やゴールデンウイーク、お盆などに不定期で開催しています。また、修学旅行の団体様から予約が入ると上演しますので、空いている座席があれば一般のお客様にも入っていただけますよ」
と話すのは、よしもと祇園花月の支配人である橋本修さん。『よるよる新喜劇』の上演予定は、他の演目同様吉本のウェブサイトに掲載されており、ネットでチケットを購入または、直接劇場を訪ねて窓口で購入することもできます。映画や美術館の感覚で、気軽に楽しめるのも嬉しいところです。



また、劇場内では食べ物の販売はされていませんが、吉本の公演は飲食自由で、食事やお酒を楽しみながら観劇ができるのだそう。劇場までの道中で祇園名物のお寿司やお弁当を買って持ち込むのも楽しそうです。

取材に訪れた日の『よるよる新喜劇』の座長は、すっちーでした。『すちこのサプライズのすすめ』という演目で、すっちー演じる破天荒なすちこさんを中心にドタバタ劇が繰り広げられます。客席との距離は意外に近く、生の舞台は迫力満点。東京からの修学旅行生たちのために上演されていたので、元気いっぱいの学生さんたちの笑い声からも楽しい気分をもらいました。すっちーが舞台から学生さんたちに飴を投げつけると、観客席は大騒ぎ。その様子を見て、一般のお客さんも爆笑します。




ひたすら笑っているうちに1時間の『よるよる新喜劇』はあっという間に終了しました。満たされた心地で劇場を出ると、まだ宵の口。日により時間は少し前後するそうですが、夜遅くなりすぎないのも『よるよる新喜劇』の良いところでしょう。たくさん笑って元気をチャージしたので、この後もまだまだ観光できそう。夜の八坂神社をお参りしたりお土産を探してもいいし、抹茶スイーツを味わったり素敵なバーで寛ぐのもいい。愉快なお芝居の余韻に酔いしれながら、ご機嫌な夜の祇園散策が楽しめそうです。

 

いつでもお客様を迎え、喜ばせる 

長らく関西限定だった吉本新喜劇ですが、「BSよしもとチャンネル」ができたことにより、日本全国どこでも観ることができるようになりました。橋本支配人によれば、吉本をより楽しむには、このチャンネルを活用するのがおすすめなのだそうです。




「無料会員になればスマホやPCで、いつでも新喜劇を楽しんでいただくことができますよ。京都で見た舞台をもう一度観ることもできます」
そもそも、よしもと祇園花月では毎日365日舞台を上演しているのですが、橋本支配人は「さらに朝から夜まで楽しめる劇場にしたい」と抱負を語ります。お客様が来てくださる限り劇場を開け、お客様を喜ばせることに全力を注ぐのが、吉本興業の使命だからです。2023年のお盆に台風が京都に上陸したときは、新幹線が止まり京都中の施設が閉まりましたが、この日もよしもと祇園花月は開けていたため、行くところがなくて困っている観光客の方に大変喜ばれました。
「基本、よしもとは閉めることがありません」
と、橋本支配人も笑顔できっぱりと頷いており、何とも頼もしい限り。よしもと祇園花月がさらに進化すれば、夜の京都の楽しみ方も一層豊かになるに違いありません。

 

インタビュー



橋本 修
よしもと祇園花月 支配人


 

公演のご案内

よしもと祇園花月 -よるよる新喜劇・寄席-
会場 よしもと祇園花月
住所 京都市東山区祇園町北側323 祇園会館内
アクセス 京阪電車「祇園四条」駅下車、7番出口より徒歩約6分
阪急電車「京都河原町」駅下車、木屋町北口1番出口より徒歩約11分
市バス100・110・206・86「祇園」下車すぐ
地下鉄東西線「東山」駅下車、徒歩約7分
スケジュール・料金 公式サイトよりご確認ください
https://gion.yoshimoto.co.jp/


 

ライター紹介

白須 美紀
京都市生まれ、宇治市在住。社寺、祭、芸能、きもの、京料理、京菓子といった京都ならではの文化を取材し、雑誌やウェブサイトなどに寄稿。近年は工芸ライターとしても活動し、ものづくりで文化を繋ぐ人々を紹介している。また、職人や作家と「いとへんuniverse」を立ち上げ、西陣織の一技法である西陣絣(にしじんがすり)を伝える活動も行っている。


 

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