朝観光のススメ

2023年01月01日(日)

朝観光

京都市ビジターズホストがおススメする朝観光 京都駅周辺エリア 「おごそかな光の中でお堂を拝観・門前町界隈を朝さんぽ」

毎日多くの人々がせわしなく行き交う京都の玄関、京都駅。ともすれば通過点になりがちな場所ですが、北側には東本願寺とその門前町が広がり、昔も今も訪れる門徒さんを迎えています。少し早起きして、広いお堂の中で静かにお参りした後は、門前町を歩いて京都駅周辺の別の顔を探してみませんか?


真宗大谷派真宗本廟(東本願寺):万人に開かれたお寺

京都駅を出て、烏丸通(からすまどおり)を北へ歩きます。ほどなくして見えてくるのが、1602年に徳川家康から寺地の寄進を受けて創建された、浄土真宗真宗大谷派の本山・東本願寺。宗祖・親鸞聖人は万人に分かりやすい教えを説き、幅広い層に仏教への扉を開きました。
御影堂は世界最大級の木造建築。対して、阿弥陀堂は阿弥陀仏がいる浄土の世界を表していて、内陣は金色に輝いています。ともに見る者を圧倒する大きさですが、これはできるだけ多くの門徒を建物内に受け入れるためです。朝早くから門戸が開かれているのも同じ理由でしょう。
御影堂と阿弥陀堂の間の渡り廊下には、明治期の再建の際、門信者が自らの髪を寄進して、麻と撚(よ)り合わせたという毛綱や、雪の中で建材を運搬中に発生した「尾神嶽殉難」のジオラマと大橇(そり)が展示されています。幕末の戦乱の中で堂宇のほとんどを失っても、門徒の寄進により再建されたというエピソードから、いかに人々から信仰されてきたかがわかります。
毎朝7時から、阿弥陀堂・御影堂で朝のお勤め(読経)と法話が行われます(約1時間)。心の中の澱(おり)が解けていくようなひと時を過ごしましょう。


 

★プラス情報★
2023年1月~3月に開催される「第57回京の冬の旅」では、通常非公開の「大寝殿」「白書院」が特別に公開されます。(東本願寺の特別公開期間は1月7日~3月16日まで)
詳しくはHPをご覧ください。

 

基本情報

真宗大谷派真宗本廟(東本願寺)
【住所】京都市下京区常葉町754
【開門時間】3月~10月 5:50~17:30 1月~2月 6:20~16:30
      詳しくはhttps://www.higashihonganji.or.jp/worship/houyouhouwa/#houyou
【アクセス】・JR「京都」駅下車 徒歩約7分
・地下鉄「五条」駅下車 徒歩約5分
・市バス「烏丸七条」下車 徒歩約1分
【電話番号】075-371-9181



東本願寺門前町:おもてなしの町

かつて、お寺の門前町には宿泊所やお香や数珠・仏壇・表具などのお店が並び、「おひがしさん」を目指してはるばるやってきた門徒たちをもてなしていました。烏丸通の東側は、今もその面影を残しています。

京とうふ 並河商店
大正14年創業。朝早くから湯気が立ち上る店内で作られていくのは、なめらかな京とうふやゴマ入りおぼろ豆腐など。にがりではなくすまし粉を使い、2種類の大豆をブレンドしたさっぱりした味わいが特徴です。店舗の隣にはイートインスペースがあり、出来立てほやほやのおとうふを味わえます。



 

基本情報

京とうふ 並河商店
【住所】京都市下京区筒金町50
【営業時間】6時〜20時(日曜日・祝日定休)
【アクセス】・JR「京都」駅下車 徒歩約8分
・地下鉄「五条」駅下車 徒歩約5分
・東本願寺より徒歩約3分
【電話番号】075-371-1722



京扇堂
京都が誇る伝統工芸のひとつ、京扇子を製造・販売するお店。お手軽な価格のものから、職人の技の粋を集めた扇子まで、さまざまな種類と絵柄の扇子が並びます。お店は、準備ができたら8時半頃から開かれていますが、9時以降は奥の工房スペースで職人さんが製作する様子を見学できることも。アニメキャラとのコラボ作品など、意欲的な取り組みをされています。絵付け体験も可(要予約)。



 

基本情報 

京扇堂
【住所】京都市下京区東洞院通正面上る筒金町46
【営業時間】平日9:00~17:00 日曜・祝祭日10:00~18:00 定休日:年末年始
【アクセス】・JR「京都」駅下車 徒歩約8分
・地下鉄「五条」駅下車 徒歩約5分
・東本願寺より徒歩約3分
【電話番号】075-371-4151



渉成園:都会の中のオアシス

9時になったら、門前町の東端に向かってみましょう。築地塀に囲まれた広い一角が渉成園(しょうせいえん)です。ここでは、朝の新鮮な空気の中、草花を愛でながらお庭を歩いて鑑賞できます。
渉成園は東本願寺の飛地境内地で、門主の隠居所となった場所です。作庭は江戸初期の武家出身の文人で、徳川家に仕え、東本願寺とも交流のあった石川丈山といわれています。様々な形式のお茶室などの建築群、小高い築山、池に架かる橋、芝生が広がる園地など、大名屋敷の広大な池泉回遊式庭園を少し小さくしたようなお庭は、茶道や能狂言など、江戸時代の文化交流の場所でもありました。背景に京都タワーや商業ビルが映り込み、そこがまた都会のエアポケットのようにホッとする空間を演出しています。
入り口で参観者協力寄付金を500円以上(高校生以下250円以上)納めると頂ける「渉成園ガイドブック」を片手に、まだ訪れる人の少ない朝の時間にじっくりとお庭を楽しんでください。



 

基本情報

渉成園(しょうせいえん)
【住所】京都市下京区東玉水町
【拝観時間】 3月~10月9:00~17:00(最終受付16:30)、11月~2月9:00~16:00
(最終受付15:30)、年中無休
【アクセス】・JR「京都」駅下車 徒歩約10分
      ・地下鉄「五条」駅下車 徒歩約7分
      ・市バス「烏丸七条」下車 徒歩約5分
【電話番号】075-371-9210



Walden Woods Kyoto:「森の生活」のオマージュ

渉成園を出て北に進むと、白い壁に縁どられたガラス張りのエントランスが特徴的なカフェ、Walden Woods Kyoto(ウォールデンウッズキョウト)が見えてきます。Waldenとは、アメリカ・マサチューセッツ州コンコードにある小さな湖。日本のナチュラリスト達のバイブル的存在である本の題名でもあります。豊かな自然の中で、著者Henry David Thoreau(ヘンリー・D・ソロー)は世間から離れて小屋を建て、野に遊び、思索にふける生活を”Walden: Life in the Woods (邦題:ウォールデン 森の生活)”に記しました。2階の喫茶エリアはベンチが壁にめぐらされているだけで、テーブルはありません。でも、ベンチに腰掛けて窓の外の梢を眺めているだけで、なぜかほっと落ち着くのです。昼間は混み合う店内も、開店直後の朝の時間であれば、窓から朝の光が差し込む空間を心静かに楽しめます。
薫り高いコーヒーやスパイシーなチャイ、「おめざ」代わりのスイーツとともにしばし物思いにふけるひとときは、きっと旅の記憶に残ることでしょう。




 

基本情報

Walden Woods Kyoto
【住所】京都市下京区栄町508-1
【営業時間】 9:00~18:00、不定休
【アクセス】・JR「京都」駅下車 徒歩約15分
・地下鉄「五条」駅下車 徒歩約6分
・渉成園より徒歩約6分
【電話番号】075-344-9009
 

★プラス情報★
時間が合えば、9:30から販売開始後ほどなくして売り切れてしまうという、おはぎのお店「今西軒」にトライしてみては。東本願寺の北東の角から一筋目の通りを五条通方向へ5分弱歩いたところにあります。
【住所】京都市下京区横諏訪町312 
【営業時間】9:30~売り切れまで 定休日:毎週火曜日・第1,3,5月曜日(6~8月は毎週月・火曜日休)お彼岸の入り~中日・お盆3日間は8:00~営業
【アクセス】地下鉄五条駅から徒歩1分。
【電話】075-351-5825





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ライター紹介

 福住 典子(ふくずみ のりこ)
京都市ビジターズホスト、全国通訳案内士(英語)。京都生まれの京都育ち。大学卒業後京都を離れるが、2009年京都に戻って一念発起し通訳ガイドに。
趣味は美術館巡りと低山歩き。初対面の印象は「いかにも京おんなっぽい」。でも、「いけず」やあらしまへん。