朝観光のススメ

2022年10月01日(土)

朝観光

京都市ビジターズホストがおススメする朝観光 四条烏丸エリア 「“京都のへそ”・山鉾町で朝さんぽ」

京都の魅力は自然豊かな郊外の寺社や庭園だけではありません。京都の「碁盤の目」の中心地には、ビルの谷間や裏道にコンパクトなお寺や町家が隠れています。
烏丸通を挟んだ三条~四条界隈は、もともと上級貴族の住居が多く、平安末期には里御所や院御所が置かれ政治の中心地に。室町時代以降は祇園祭を支える富裕な町衆が商売を営み京都の経済の要となりました。
ホテルに泊まって、少し早起きして、忙しく動き出す前の朝の街で宝探しに出かけてみませんか?散策に便利な「ホテルモントレ京都」から歩いていけるおススメの朝さんぽコースをご紹介します。



紫雲山頂法寺六角堂:京都のへそがあるお寺

四条烏丸エリアにあるホテルを出発。六角通を東へ歩くとすぐ見える左手の門が「紫雲山頂法寺(通称・六角堂)」です。



その歴史は古く、587年に聖徳太子が如意輪観音菩薩のお告げにより創建したと伝わり、西国三十三所の観音霊場の一つです。飢饉の際に炊き出しをしたり、明治期まで祇園祭山鉾巡行の「くじ取り式」が行われたりと、民衆が集まる集会所的な場所でもありました。
またここは、日本の伝統文化「華道」発祥の地です
。聖徳太子が沐浴した池の傍に僧坊があったことから池坊と呼ばれ六角堂の住職が華道家元の住職を務めています。
境内には、平安京造営時、本堂の位置に道を通すために祈ったところ、堂が少し北の現在地へ移動し、もとの位置に石が一つ残ったという言われがある「へそ石」があります。他にも、縁結びの柳の木、穏やかなお顔の羅漢さんやお地蔵さんなど、見どころはたくさん。

 

基本情報

紫雲山頂法寺六角堂
【住所】京都市中京区堂之前町248
【拝観時間】6:00~17:00(夜の特別拝観時期を除く)御朱印 8:00~、納経8:30~、お守り授与所9:00~17:00まで
【アクセス】・ホテルモントレ京都より徒歩1分
・地下鉄「烏丸御池」駅5番出口から徒歩3分
・阪急京都線「烏丸」駅21番出口から徒歩5分
【電話番号】075-221-2686



金高刃物老舗:プロ仕様の刃物全般が揃うお店

六角堂の真向かいに店を構えるのは、華道に欠かせない道具・花鋏はじめ、様々な刃物を販売する「金高刃物老舗」。創業はなんと戦国時代。池坊門弟の方々御用達のお店です。日常使いから職人さん向けのプロ仕様の刃物まで、幅広い種類の刃物を扱っていて、ウインドウにはお土産用のキュートなサイズの包丁も。

 

基本情報

金高刃物老舗
【住所】京都市中京区六角烏丸東入ル堂之前町244
【営業時間】9:00~17:00
【アクセス】・ホテルモントレ京都より徒歩1分
・地下鉄「烏丸御池」駅5番出口から徒歩3分
・阪急京都線「烏丸」駅21番出口から徒歩5分
【電話番号】075-221-5446

▼店主の山田佳孝さんの素顔に迫った記事はこちら▼
【祇園祭のクライマックス】山鉾巡行だけでは終われない。祭の真髄“神輿渡御“|京都観光Naviぷらす


山鉾町界隈と膏薬辻子:京町家建築の宝庫を歩く

今度は六角通を西へ。この辺りは呉服関係の店が並び、祇園祭の山鉾町と言われる地域。今回はその中でもかつて三井の両替店があった新町通を歩きます。少し北へ向かうと左側に見えるのが「八竹庵(旧川崎家住宅)」。瀟洒な町家の塀の内側には立派な松と洋館の屋根が顔を覗かせています。



また、新町通を南に歩くと、「三井両替店旧址の駒札」やバッタン床几を備えた千本格子が印象的な「吉田家住宅」「南観音山会所の路地」など、繊維産業が盛んだった頃の京都を彷彿とさせる建物が並びます。さらに歩いて四条通を渡り西へ進みます。「膏薬辻子(こうやくのずし)」の立て札がある辻に入ると、石畳の小路に小さな神社やお店が点在し、表通りとは違う空気感に懐かしさが漂います。





The Terminal KYOTO:町家×アート×カフェ

 膏薬辻子の風情を楽しみながら、京町家の中でもひときわ大きな「杉本家住宅」の前を過ぎ、新町通を南に進みます。
しばらく歩くと左手に見えてくるのが「The Terminal KYOTO」。元は1932年建築の木崎呉服店で、間口9m、奥行き50mの典型的な「うなぎの寝床」の京町家です。
現オーナーは急速に失われていく京町家の現状を憂い、建築当時の意匠を最大限活かしつつ、この建物をカフェ・ギャラリーとして蘇らせました。こちらのギャラリーでは現代アート作家や新進気鋭の工芸作家に発表の場所を提供しています。記者が訪問した日は現代書家の作品展が行われており、昭和初期の日本の美意識とコンテンポラリーなアートセンスが融合した特別な空間を楽しめました。上質なデザインの逸品がそろうショップも併設。大切に使いたいお気に入りの品に出会えるかも。




カフェは朝9時から利用できます。厳選した豆を使用した珈琲やこだわりの茶葉を使ったお茶、スイーツなどのカフェメニューを楽しめます。縁側から差しこむ朝の光の中、静かな奥庭を眺めながらゆったりと贅沢なひとときを過ごせる、隠れ家のような場所です。


 

基本情報

The Terminal KYOTO
【住所】京都市下京区新町通仏光寺下ル岩戸山町424
【営業時間】9:00~18:00(閉館日:年末年始)
 喫茶・ショップは通年営業、企画展の期間はHPを確認
【アクセス】・ホテルモントレ京都より徒歩1分
・地下鉄烏丸線「四条」駅(6番出口)徒歩6分
・阪急京都線「烏丸」駅から徒歩6分
【電話番号】075-344-2544

The Terminal Kyotoを後にして、木辻子(しゅもくのずし)」へ。飲食店が立ち並ぶこの通りでは、夕食場所の候補を見つけることができるかも。後は錦小路通、室町通、蛸薬師通をジグザグ進みながらホテルへ戻りましょう。


 

「ホテルモントレ京都 のプランはこちら」(日本旅行サイト)


 

ライター紹介

福住 典子(ふくずみ のりこ)
京都市ビジターズホスト、全国通訳案内士(英語)。京都生まれの京都育ち。大学卒業後京都を離れるが、2009年京都に戻って一念発起し通訳ガイドに。
趣味は美術館巡りと低山歩き。初対面の印象は「いかにも京おんなっぽい」。でも、「いけず」やあらしまへん。