京都の冬

京都の冬
きょうとのふゆ

11月下旬、南座のまねきが上がると、「もうまねきが上がりましたえ。師走どすなぁ」と忙しく行きかう人々は言葉をかわします。「師も走る」との言葉通り、このころになると、お歳暮の用意やおせちの準備、大掃除と何かと「セツロシイ」(気ぜわしい)気分になります。「オコトーサンドス」。正月の準備で忙しくなるとき、そう言葉をかけあいます。語源は事多しから。12月13日、祇園では事始めの風習がまだ残っています。祇園の芸妓さん、舞妓さんが京舞の師匠・井上流家元宅へ出向き、「おめでとうさんどす」とあいさつします。師匠は「おきばりやす」と返事し、祝いの舞扇を渡します。おせちも最近は作る人が少なくなり、デパートの料亭のものがよく売れるとか。時代の流れの中で仕方のないことと思いつつ、やはり寂しさも感じながら、錦市場へ買い物に出かけます。正月の準備が整ったら、大晦日の夜は八坂神社の「オケラマイリ」へ。おけら火を消さないよう縄を短く持ってくるくる回しながら家へ持ち帰ります。その火でお雑煮を煮る、というのが昔のしきたりでしたが、今はおけら火をどうするのでしょう。お雑煮は地方によってさまざまな特色があるそうですが、京都のお雑煮は白味噌仕立て。大きい「カシライモ」がお椀の中で、でんと威張っています。まるく人と争わないように、人の頭に立てるようにという願いが込められているのです。家族で「オイワイヤス」と言い合い、新年を祝います。

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