点火時の合図とその様子

点火時の合図とその様子
てんかじのあいずとそのようす

さて、あれだけ大規模な送り火の文字ですが、一糸乱れぬ一斉点火がなされているということが不思議です。「大文字」を例に取ってみましょう。点火を午後8時に控え、保存会のメンバーは午後7時半に山の中腹にある弘法大師堂に集まりお参りします。浄土院の住職により般若心経が読経されます、お堂の蝋燭の火を親火に移します。そしてこのとき、清めの酒(実は護摩酢)が各火床の点火責任者に振る舞われます。

いよいよ午後7時59分、「南の流れ良いか!」「北の流れ良いか!」「字頭良いか!」「一文字良いか!」という大きな掛け声のあと、金尾(かなわ)という全ての字画が交わる中心点で大松明を振りかざし、点火の合図を送ります。この合図によって75ある各火床の責任者たちが一斉に点火するのです。

また「妙法」は2カ所離れていますので、現在では午後8時10分に保存会の会長さんが、近くのアピカルイン京都というホテルの屋上から「妙」と「法」の2方向にライトを照らします。「船形」では山ろくから点火を知らせる鐘を打つことになっています。

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