保存会の準備と苦労

保存会の準備と苦労
ほぞんかいのじゅんびとくろう

一般の人は、「送り火保存会の人たちは、夏場だけが忙しく、冬場は何もしない」と思っていることでしょう。ところが、冬場にも送り火のための仕事はちゃんとあるのです。

送り火が終わった次の日から、もう来年の送り火の準備が始まっていると言っても良いかも知れません。送り火の準備は1年仕事です。中でも、重要なウエイトを占めるのが、点火資材である松割木(まつわりき)や松明(たいまつ)にする「赤松」の確保。これら送り火に用いる木はどんな木でも良いというわけではなく、「赤松」が一番と言われています。同じ松でも「黒松」では油分が少なく、燃えにくいのです。「杉」では火の勢いが強すぎて、山火事を引き起こす危険があり、適度な油を含む「赤松」が松明として最適とされています。しかし、この赤松も切ってから直ぐに使うのでは水分が多いため、冬場には伐採して、空気の乾燥した冬に充分乾燥させておかなくてはなりません。

最近では松喰虫による被害で赤松も入手が困難となり、赤松の植樹を始めた保存会もあるようです。このように、保存会の1年は赤松を育てたり、探したり、伐採したり、乾燥させたりで忙しい日々を送るのです。

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