「送り火」 にまつわる風習

「送り火」 にまつわる風習
「おくりび」にまつわるふうしゅう

祖先の霊を送り、冥福を祈るための送り火ですが、それと同時に多くの人々は残された自分たちの健康や家内安全も併せて祈ります。

「盃に送り火の文字を映すと無病息災」とよく言われます。この場合盃の中身はお酒でなくとも、水であっても良いそうです。また「茄子に穴をあけて、大文字を見ると眼が良くなる。」とも聞きます。お盆に備えたお精霊さんを迎える野菜の茄子を使えば良いのです。また翌朝以降、山に登って求める「消し炭」のご利益もよく言われます。送り火を焚いた後の松明の炭は「消し炭」あるいは「からけし」などとも呼ばれ、浄火によって焚かれた松明ですから、その炭もやはり浄化されたものであるとの信仰があり、競ってその「消し炭」を求めに登ります。細かく砕いて、少量服用すると虫下しに良いとか、奉書紙で包んで玄関などの門口に掲げておくと魔除けになるなどの民間信仰が根強く残っています。

また初盆を迎えた「お精霊さん」がいる家の場合、冥府へのUターンも初めての経験で、冥界への道を間違えないように、特に念入りに無事を祈る方もいらっしゃるようです。

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