左大文字

左大文字
ひだりだいもんじ

東山の大文字に対し「左大文字」と呼ばれています。ちょうど鹿苑寺(金閣寺)の北に位置する大北山に点火されます。この大北山の標高が約200メートルと東山の大文字に比べて、低い位置の送り火ではありますが、その分、町中からの距離が短く、一番最後まで灯っている送り火といってもよいでしょう。この左大文字の点火に使う火は、「法音寺」というお寺から保存会の松明行列が大事に運んで行きます。このときの様子は途中まで西大路通や金閣寺参道前の交差点で見ることができます。親火がお寺で点火され、それが山まで運ばれるという例は左大文字ならではの風習です。

また左大文字にちんだこんな言い伝えがあります。東山に灯った大文字が御所の池の水面に映り、さらにそれが反対側に反射して映されたのが「左大文字」だと。この場合の御所とは、天皇のいる御所ではなく室町幕府の将軍のいた御所のことでしょう。金閣寺の近くの左大文字、銀閣寺近くの大文字、その間には相国寺(足利義満開基)と足利将軍家という興味深いラインで繋がれているようです。

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