『源氏物語』に登場する「葵祭」

『源氏物語』に登場する「葵祭」
『げんじものがたり』にとうじょうする「あおいまつり」

「葵」の巻、「車争い」という場面の舞台が「賀茂祭」です。これは、禊の儀式に同行する光源氏の姿をひと目見ようと、都中の女性たちがこぞって一条大路に集まる中、正妻である「葵上(あおいのうえ)」と、元カノである「六条御息所(ろくじょうみやすどころ)」の乗る御所車同士がけんかをしたという設定です。

もともとは「六条御息所」の乗る車が先に良い場所にパーキングしていたようですが、粗末な車であったため、「葵上」の車が後から来たにもかかわらず、「そこをどきなさい!」といわんばかりの割り込みをしました。もちろん車を曳いていた家来たちの争いで、最初は車に乗っている当人たちにとって、お互い相手方が誰であるかも分からなかったのですが、辱めを受けた「六条御息所」の方は、相手方の車の主が分かった模様。それがかつて愛した源氏の妻とあっては恨みも倍増したことでしょう。後日、「葵上」は「六条御息所」の生霊に取り憑かれて、亡くなってしまいました。

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