社頭の儀

社頭の儀
しゃとうのぎ

「葵祭」は以前「宮中の儀」「路頭の儀」「社頭の儀」という3部構成でした。現在は「宮中の儀」が行われず、「路頭の儀」が注目を集めるため、「社頭の儀」は関係者以外ほとんど世に知られていません。しかし、葵祭はもともと勅使が賀茂の神に進物を奉ることが、ルーツですから「社頭の儀」は祭りの重要な部分であるわけです。

「路頭の儀」で注目を集めるのが「斎王代」なら、「社頭の儀」の主役は「勅使」です。「祝詞」(神様へのあいさつ状)奉上や、「奉幣(ほうべい)」(神様へプレゼントを進呈すること)では、大勢の参列者の視線が注がれる中、神事が粛々と進んでいきます。またほかには、舞楽などもあり、中でも「牽馬(ひきうま)の儀」という儀式が面白いですね。社殿の周りを引きまわすのですが、馬を引く「馬寮使(めりょうし)」が神様のいらっしゃる本殿の方を向いてお辞儀をすると、馬もそれに倣ってペコッとお辞儀をするから不思議です。参列者から、ほのぼのとした笑いが漏れるひと時です。雨で「路頭の儀」が中止となった場合でも、「社頭の儀」は上賀茂・下鴨両神社で執り行われます。ただし、その時は儀式も簡略化した内容になるようです。

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