平安時代<後期>(1068~1192)4
平安時代<後期>(1068~1192)4
へいあんじだい<こうき>(1068~1192)4
●『平家物語』終局を盛り上げる大原
建礼門院徳子の生涯はまさに波乱万丈、平家の歴史そのものといってよい。大原の寂光院は建礼門院ゆかりの寺として知られる。徳子は清盛の娘として生まれ、高倉天皇の中宮となり、安徳天皇を生んで世にときめいたのもつかの間、平家没落とともに壇ノ浦で入水。しかし直後に源(みなもと)軍に助けられ、寂光院で幼帝や平家一門の菩提を弔いながら余生を送った薄幸の佳人である。平家物語の終巻『灌頂の巻』、後白河法皇の「大原御幸」の舞台でもあり、苔と楓樹に囲まれ閑雅な風情の境内が物語の悲愁をしのばす。本堂の建礼門院の像も清々しい。円山公園の奥、紅葉の美しい長楽寺で徳子は落飾出家したと伝えられ、建礼門院供養の十三重石塔や安徳天皇の形見の衣が残されている。