唐の国から伝わる
唐の国から伝わる
とうのくにからつたわる
日本は、外国から実にいろいろな文物をうまく取り入れて、独自な文化を生み出している国だとよくいわれます。日本文化の特徴ですね。和菓子の世界でも同じことがいえます。7世紀から9世紀にかけて、遣唐使が日本から文明の先進地・中国へ派遣されました。その遣唐使がもたらした菓子が、唐菓子(からくだもの)と呼ばれているものです。平安時代の漢和辞書『和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』には、主要なものとして8種の唐菓子が記されています。梅枝(ばいし)・桃枝(とうし)・?餬(かっこ)・桂心(けいしん)・黏臍(てんせい)・??(ひら)・●子(ついし)・団喜(だんき)。いやあ、難しい名前ですね。多くは、小麦粉や米粉を溶いて、いろいろな形に作り油で揚げた菓子だったといいます。長い歴史のある京都の神社の中には、神前に供える菓子に唐菓子の伝統を受け継いで作っているところがあります。さらに、この8種の中の一つ、団喜をいまに伝える銘菓が京菓子店にあります。「清浄歓喜団(せいじょうかんきだん)」といい、京都の聖天さんに必ず供えられる供饌菓子(ぐせんかし)として知られています。7種の香を入れた皮で小豆餡(あずきあん)をつつみ、蓮華(れんげ)の形に結び胡麻油(ごまあぶら)で揚げています。 ●は食へんに追