菓子の始まり

菓子の始まり
かしのはじまり

京菓子は「目で味わい、耳で味わい、そして舌で味わう」といわれます。小さい菓子の中に、日本の四季折々の美しい風物が見事な形と色彩で表現されていて、思わず目を見張って、まず目で味わうことになります。また京菓子には和菓子の長い歴史が息づいています。京菓子にはゆかしい菓銘がついていて、菓銘や菓子の形や色彩に日本の歴史や文化がこめられています。その典雅な由来を耳にすると、味わいが深まるのです。菓子の始まりは木の実だといわれます。伝説が一つあります。垂仁(すいにん)天皇の御代、田道間守(たじまもり)という人が天皇の命で常世国(とこよのくに)に渡り、非時香菓(ときじくのかくのこのみ)を得て持ち帰りました。ところが、天皇はすでに亡くなっていて、田道間守は非時香菓を墓前に供え、嘆き悲しんで死にました。伝説は戦前の唱歌になりました。非時香菓は橘(たちばな)、現在の柑子蜜柑(こうじみかん)だといわれ、田道間守は菓子の神様として菓祖神社に祭られています。こんな菓祖に思いを寄せた菓子があります。「夏柑糖(なつかんとう)」です。夏蜜柑(なつみかん)の果汁に寒天と砂糖を加え、再び夏蜜柑に詰めて固めています。

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