花見のころ
花見のころ
はなみのころ
花便りが届くころは、心が浮き浮きしますね。日本の桜は野生種と園芸品種をあわせて約300種類もあるといわれます。京都の花の名所はどこも素晴らしいものがあります。でも「花より団子(だんご)」と、ついうまくて美しい「花見団子」に目がいってしまいます。緑白紅の3色の団子は桜の花と葉を表すといいます。桜の葉の何ともいい香りが味わえるのは「桜餅(さくらもち)」。道明寺糒(どうみょうじほしい)を蒸して砂糖をくわえた生地で、こし餡をくるみ、塩漬けの桜葉でつつみます。葉は野生種の山桜に属する大島桜(おおしまざくら)の大きな若葉が用いられます。桜をモチーフにした京菓子はたくさんあります。「花くれない」は美しく紅と緑の2色に染め分けたきんとんです。きんとんとは、餡玉(あんだま)の周りに色づけしたそぼろ餡をそえた上生菓子ですね。紅は桜、緑は柳、「柳桜をこきまぜて都ぞ春の錦(にしき)なりけり」と歌われる風情です。袖に花びらが散るさまを写した「花衣(はなごろも)」や花びらの水に浮かぶ様子の「花筏(はないかだ)」というのもあります。どれも京菓子らしい美しく象徴的なデザインの上生菓子です。