ひな祭り
ひな祭り
ひなまつり
日本の暮らしには、四季折々、心ときめく行事が織り込まれていて、美しい季節のめぐりと暮らしのリズムが実に見事に歩調を合わせていますね。その行事になくてはならないのが和菓子です。3月3日は桃の節句のひな祭り。家々に飾られるひな人形に「菱餅(ひしもち)」や「ひなあられ」を供えるのは、ひな祭りの菓子の定番です。「菱餅」は紅白緑の3色の伸(の)し餅(もち)を重ねたもののほか、黄色と桃色を加えた5色もあります。緑は蓬(よもぎ)を入れた草餅で、厄除(やくよ)けの意味がこめられています。餅の代わりに生姜糖(しょうがとう)でつくったりもします。でも、京都のひな祭りに欠かせない菓子は「引千切(ひきちぎり)」ですね。「ひっちぎり」「ひちぎり」とも呼びます。外郎(ういろう)やこなしでつくった紅白緑の台に、着色して裏ごしした白餡(しろあん)のそぼろをのせています。こなしとは、こし餡に小麦粉やこめ粉を入れ、蒸して熱いうちに砂糖を加え、もみこなした生地をいいます。そぼろ餡の代わりに、丸めた餡をのせたりもします。面白い形をしていますね。これも宮中の儀式に用いた戴餅(いただきもち)に由来します。