お茶漬け(ぶぶ漬け)

お茶漬け(ぶぶ漬け)
おちゃづけ(ぶぶづけ)

「ぶぶ漬け」とは、お茶漬けのこと。「ぶぶ漬け、どうどす?」と、訪問先で勧められたら、そろそろお帰りくださいというあいさつで、本気にとれば笑い物になるというのが京都のぶぶ漬け伝説です。京都人のイケズを象徴する話として、落語「京の茶漬」のように、まことしやかに語られますが、実際に経験したという話は聞いたことがありません。本来は、「何にもないけど、ぶぶ漬けでも食べてゆっくりしていってくださいね」という京都流の控えめなやさしさの表現のようです。こんな話が生まれたこと自体、きっと昔から京都の人々の暮らしの中でお茶漬けが身近な食べ物だった証しなのでしょう。試しに歴史をひもとくと、江戸時代の商家などでは、朝や晩にしょっちゅうお茶漬けを食べていた記録が見られます。それも、なぜ朝晩かというと、当時の京都では昼にご飯を炊く習慣があったからです。お茶漬けは、冷めたごはんをおいしく食べる知恵でもあったに違いありません。京都には、ちりめん山椒、漬物、塩昆布など、お茶漬けの友がたくさんあります。好みの「ぶぶ漬け」を味わってみるのも楽しいですね。

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