松茸

松茸
まつたけ

「香り松茸、味しめじ」という言葉があるように、何といっても松茸は香りが命です。この香りのよさというのは鮮度に比例するので、料亭などでは、ぜいたくの極みとして、近郊で収穫された「朝採れ」にこだわるのです。しかし、かつて「都松茸」と呼ばれた京都市内産は、今やほとんど市場に流通することはありません。採れなくなったからです。京都は昔から松茸の産地として知られ、北山、雲ヶ畑、金閣寺や仁和寺の裏山など、町の周辺でもよく育ちました。公家の日記には、松茸狩りの記録が多く残り、秋の行事として楽しんだ様子がうかがえます。江戸時代には、京都から江戸への貴重な贈答品にもなっていました。秋の訪れとともに、どこからともなく金木犀(きんもくせい)の香りが漂ってきたら、松茸の旬の到来です。もしかしたら、「都松茸」に出合えるかもしれません。

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