京都のお酒
京都のお酒
さけ
酒は人を酔わせる不思議な飲み物。昔から神事に始まり、さまざまな儀式に使われてきたことから、酒宴の作法が生まれ、祝いの席で行う三三九度のようなしきたりに至りました。酒が日本文化を象徴する飲み物と言えるのは、そういった文化をはぐくんできたからでもあります。
現在、京都の酒といえば、まず伏見という地名が出てきますが、かつては京都の中心部にたくさんの酒蔵がありました。良質の地下水と酒づくりに適した気候風土に恵まれた京の酒の歴史は古く、平安時代(8末~12世紀)には、大内裏(だいだいり)に「造酒司(みきのつかさ)」が設けられ、高度な技術で酒づくりが行われました。やがて、その技は洛外(らくがい)の地域へも広まり、安土桃山時代(16世紀)に豊臣秀吉によって伏見城が築城されてからは、次第に伏見の酒造家が増え、今日の銘醸地としての基盤が整いました。室町時代あたりには洛中酒が大量に造られていましたが、江戸時代には伊丹酒に市場が独占されてしまいました。明治以後は、東海道線の開通などによって全国に向けて販売されるようになり、日本の二大酒どころとして知られるようになりました。
酒の好みは人それぞれですが、地酒はその土地柄を表す食のバロメーター。ぜひ、京料理とともに味わってみてほしいですね。