千枚漬

千枚漬
せんまいづけ

千枚漬の魅力はおいしさもさることながら、その美しさにあると言ってもいいかもしれません。きめ細やかで、ほんのりとつやのある白さは、数ある京都の漬物の中でもひときわ目立つ存在です。もともと刻んだ聖護院かぶを塩で漬けたものだったようですが、現在のような薄い輪切りの浅漬けスタイルになったのは幕末、慶応年間(1865-68)のこと。御所の料理職人を勤めた大藤藤三郎が独特の風味をもつ宮中風の漬物に仕上げて「千枚漬」として売り出したといわれています。見た目に優雅な美しさが漂うのは、きっと御所の料理文化にはぐくまれたからなのでしょう。現在では店によってさまざまな味があり、壬生菜が添えられている場合などもありますが、漬け方は大きく分けて、酢や砂糖などを入れた調味液に漬け込む方法と、調味液は使わずに塩と昆布のみで作る方法があります。調味液を使わないタイプは、自然の乳酸発酵による抑えた酸味が特徴です。聖護院かぶの旬にあたる、11月から2月ごろまでしか食べられない京の冬の味覚です。

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