ちゃ

新緑を思わせる、すがすがしい緑色のお茶。緑茶と呼ぶように、煎茶は緑色が常識ですが、美しい緑色の煎茶を飲むようになったのは、江戸時代中期以降のことです。宇治田原の永谷宗円が、お茶の新芽を蒸して手でもみながら焙炉の上で乾燥させるという方法を生みだしてからという説があります。それまでの製法では見た目も黒っぽく、抽出しても赤茶けたような色が普通だったそうですから、まさに画期的なお茶です。それを当時「京もの」がもてはやされていた江戸で販売したところ、宇治製煎茶としてヒット商品になりました。その後、玉露という新しい銘柄も宇治で創製されます。いくつもの茶の伝来説があり、茶の湯文化の中心地である京都は、昔から「茶」と縁が深い土地ですが、現在でも宇治茶が全国的に知られているのは、そうした背景によるようです。さて、京都の庶民のお茶といえば、「京番茶(刈り番茶)」。これは玉露を摘んだ後に刈り取った茶の木の枝や葉、茎を蒸してもまずに乾燥させ、高温の鉄板で炒ったものです。別名「赤ちゃん茶」と呼ぶように、カフェインやタンニンが少ない身体にやさしいお茶です。なにより安価なので、独特の風味とともに庶民に愛されています。

「京の用語集」一覧に戻る