白味噌

白味噌
しろみそ

昔の京都の商家では、元旦になると家族そろってお膳を囲み、「お祝いやす」とあいさつするのがならわしだったそうです。もちろん、お雑煮は白味噌仕立て。具は、丸餅に頭芋(かしらいも=サトイモ)がメインのお椀ですが、シンプルな具だからこそ、まるでポタージュ・スープを思わせるほど濃厚な白味噌の風味を引き立たせてくれます。お雑煮に使われるように、白味噌は京都の人々にとっても特別な食材で、普段、毎日食べているわけではありません。やわらかな甘みにぜいたく感が漂うように、もともと宮中を中心に作られてきた味噌なのです。うっとりするほどの甘みと複雑なうま味を持つのは、原料に大豆の2倍以上の米麹を使うため。米のデンプンを糖に変えることで、独特の甘みを引き出すのです。しかも、塩分が少なく日持ちがしないので、早く使い切ってしまわなければなりません。そんなわけで、京都の人にとって白味噌自体は身近ではあるものの、お雑煮はやはりハレの日の料理なのです。

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