鯖ずし
鯖ずし
さばずし
ハレの日の料理といえば「すし」。京都では昔から、祇園祭や秋祭りなど、おめでたいときに「鯖ずし」を食べる習慣があり、昔は家の味の鯖ずしを祭りに届け合ったそうです。塩と酢で締めた鯖を棒状にしたすし飯にのせ、ふきんで包みながら形を整え昆布を巻き、竹の皮で包んだ押寿司で、12時間ほどつけてから昆布を取って食べます。海から遠い京都では鮮魚が手に入りにくかったため、生魚に近い塩鯖は、特別な日にだけ味わえる食材だったのでしょう。鯖は福井県の若狭湾と京都を結ぶ鯖街道を通って運ばれたことが知られています。ルートはいく通りもあったようですが、京都では上京区の出町が終点とされています。昔は人力で一昼夜かけて運んだそうで、一塩ものの鯖は運ぶ間にちょうどよい塩加減になるように工夫されていたとか。鯖に始まり、食材はほとんど京都以外の地域からもたらされたものですが、なんといっても料理の技術で粋を凝らすのが京都流。鯖ずしは、若狭湾から京都に近づくにつれ、洗練された味わいになってくるのも面白いところです。