普茶料理

普茶料理
 

普茶料理は、江戸時代に中国から渡来した黄檗山(おうばくさん)萬福寺(まんぷくじ)の開祖、隠元(いんげん)禅師(1592-1673)によってもたらされたといわれる、炒め物・餡かけ・揚げ物など、中国風の調理法や味付けの多い精進料理。うなぎのかば焼きやかまぼこなど、精進料理としてはあり得ない料理の数々が登場するのも特徴のひとつです。初めて食卓を囲むと非常に驚きますが、これらはすべて「もどき料理」で、動物性の食材は一切使わず、豆腐や麩、野菜などの植物性の食材で作られているのです。例えば、うなぎのかば焼きは、すりおろしたゴボウと豆腐、焼のりなどで作るといった具合。なぜ手の込んだもどき料理を作るのか不思議に思いますが、そもそも寺がお客をもてなすための工夫から生まれたもので、修行僧などは普段口にできない料理といわれます。普茶料理には、飲食は平等という仏教の教えが基本にあり、「普(あまね)く衆に茶をふるまう」という意味があります。楽しく食卓を囲んでほしいという、もてなしの心が、ユニークなもどき料理に表されているのです。また、大皿で出されたものを小皿にとりわけて食べるスタイルも主と客が親しく会食できるようにとの心配りだとか。

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