湯豆腐

湯豆腐
ゆどうふ

京の冬の名物料理として知られる湯豆腐。昆布のだしがシンプルに豆腐の味を引き立たせるので、豆腐そのもののおいしさ味わうには、もってこいの食べ方です。「真っ白でまるで雪のようだ」。そんなふうに評されるほど、京都の食べ物の中でも、昔からきわだって評判がよかったのが豆腐です。なぜ、おいしい豆腐が作られるようになったのか......。よく言われるのが、豆腐作りに欠かせない良質な地下水に恵まれたことです。また、もともと中国から寺院を通して精進料理と共に広まった食べ物ですから、嵯峨の天龍寺や東山の南禅寺付近は、いずれも禅寺のおひざ元とあって多くの専門店が味を競っています。有名豆腐店も数多くありますが、京都では各町内でそれぞれ地域に根差した豆腐屋があり、今でもパー、プーという独特のラッパ音を鳴らしながら、リヤカーを引いて売り歩く姿をよく見かけます。普段はそういう近所の馴染みの店で購入するのが普通の人々の暮らし方です。豆腐はあまりにも身近な食材であるためか、一般的に京都の人は湯豆腐をわざわざお店に食べに出かけることはほとんどありません。お味噌汁に入れたり、鍋料理で食べたり。夏は冷ややっこにして繊細なおいしさを味わうことが多いようです。

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