手水鉢
手水鉢
ちょうずばち
「手水鉢(ちょうずばち)」には書院などの建物の縁先に置く「縁先手水鉢」と、露地(ろじ)などによくある丈の低い「蹲居(つくばい)」があります。後者は、茶室に入る前に手を清めるという極めて実用的な意味合いが今でも残っていますが、前者は実際に手水として使われることも最近では少なくなり専ら観賞用として縁先にその存在感を表現していることの方が多いようです。清水寺成就院(じょうじゅいん)の「誰が袖(たがそで)手水鉢」はその一例です。この手水鉢は「色よりも香こそあはれと 思ほゆれ 誰が袖ふれし 宿の梅ぞも」という古今集の歌に因んで命名された、何とも風流なネーミングの手水鉢です。また、最初から実用的ではなく、観賞用として庭の飾りに置かれていた「飾り手水鉢」もあります。「曼殊院(まんしゅいん)」の「梟(ふくろう)の手水鉢」、「円徳院」の「桧垣形(ひがきがた)手水鉢」、「慈照寺(じしょうじ)銀閣寺」の「銀閣寺型手水鉢」はその例です。