灯籠

灯籠
とうろう

「滝石組」につきものなのが、滝に登って行こうとする鯉をイメージした「鯉魚石(りぎょせき)」。流れに逆らって泳ぐ鯉の力強さが感じられます。また、蓬莱(ほうらい)思想がうかがえる庭で時折見られるなのが、「灯籠(とうろう)」とはもともと、社寺への献灯のためのものでした。奈良の大寺院に行きますと、今でも境内の中央に大きな石灯籠や鉄灯籠が御堂に向かって立っている姿をよくみかけます。京都でも神社の境内にはおびただしい数の石灯籠が奉納されています。ちなみに南禅寺の三門の前には大きな石灯籠が置いてありますが、これは日本で2番目の大きさだとか。さて、本来の目的から、桃山時代ごろになりますと、茶人たちによって灯籠が庭の灯りとして取り入れられるようになるのです。夜の茶事のためだったのでしょう。そして灯りという用途から、庭の点景へと移り変わっていきます。中でも趣のあるのが「雪見灯籠」。雪が多く積るように笠の表面積が大きいのが特徴です。仙洞御所(せんとうごしょ)から移され泉涌寺の御座所(ござしょ=本坊内)にあるものから派生したという「泉涌寺式雪見灯籠」は屋根が八角形なので、すぐに分かります。また古田織部(ふるたおりべ)が考案したと伝わる「織部灯籠」。この灯籠は別名を「キリシタン灯籠」といい、十字架をそのデザインに隠しているという神秘的な形をしています。また投身の前面にはお地蔵さん(マリア様)が彫られ、台座がなく直接地中に埋め込まれているのが大きな特徴です。

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