神社仏閣とともに

神社仏閣とともに
じんじゃぶっかくとともに

神饌(しんせん)や仏供(ぶっく)には菓子がいつも供えられていますね。定まった紋章を木型で押した落雁(らくがん)の「御紋菓(ごもんか)」は特に有名です。お下がりは信者らに配られ、ありがたくいただきます。神社仏閣の社前・門前は聖なる領域への入り口です。参詣の人たちが増えてくると、茶屋が設けられ、神仏の霊験に思いを寄せて、お茶とお菓子をいただくようになりました。方広寺の「大仏餅(だいぶつもち)」は廃れてしまいましたが、下鴨神社の「みたらし団子」、今宮神社の「あぶり餅」、北野天満宮の「粟餅(あわもち)」はいまも全国的に知られています。宗教都市・京都ならではです。菓子は神社仏閣と深いかかわりを持って、ともに歩んできたわけですね。西本願寺と密接な関係のある「松風(まつかぜ)」は、まさに運命をともにしてきた歴史があります。織田信長の石山本願寺明け渡し要求に対抗して、本願寺の顕如(けんにょ)は持久戦を戦いましたが、「松風」はその兵糧にとつくられました。のち本願寺が京都に落ち着いたとき、顕如は「わすれては波のおとかとおもふなり まくらにちかき庭の松風」と詠み、懐かしい兵食に菓銘を与えました。

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