1940年創業の老舗喫茶で夜スイーツと食事を楽しむ~イノダコーヒ~

2025年03月17日(月)

  • 市内中心部

  • 京都駅周辺

1940年創業の老舗喫茶で夜スイーツと食事を楽しむ~イノダコーヒ~

目次

    “ほんまもん”を大切にもてなす京都の老舗喫茶・イノダコーヒ

    85年前に京都の街中で誕生したイノダコーヒは、京都人なら誰もが知る喫茶店。現在では京都市内に6店舗を構えており、どの店舗も地元の人や観光客で賑わっています。今回は京都の玄関口・京都駅で夜も人々を出迎えるイノダコーヒ ポルタ支店を訪ね、京都人に愛される名店の秘密に迫りました。

    -本物のコーヒーにこだわり誕生した喫茶店

    イノダコーヒの創業は1940年。コーヒーの魅力に取りつかれた創業者の猪田七郎氏が、世界各国から仕入れた珈琲豆の卸売から始めました。そして戦後間もない1947年、現在も本店が立つ場所にコーヒーが飲める喫茶店を開店。

    代用コーヒーが多かった時代に「本物のコーヒーが飲める」という口コミが京都の旦那衆を中心に広がり、注目を集めるようになったといいます。

    「物資が乏しく砂糖やミルクも貴重な時代でしたが、創業者の猪田七郎は『ほんまもんの材料で作る美味しいコーヒーでもてなしたい』という強い思いがありました。それはイノダコーヒの理念として、今も受け継がれています」とイノダコーヒ広報担当の加来康子さん。

     

    本店のオープンの後は徐々に店舗を増やし、1965年に四条支店が開店するとフードメニューが充実。コーヒーだけでなく食事もしっかり楽しめる現在のスタイルになりました。各店舗それぞれに常連客がおり、地元の人々の日常に寄り添う喫茶店として親しまれています。

    -画家としての創業者のセンスを映したエレガントな空間

    イノダコーヒ ポルタ支店は京都ポルタが開業した1980年にオープンしました。ポルタ支店の店内は、和紙作家・堀木エリ子さんの大きな作品が飾られた壁や白色の家具が上品な雰囲気。壁の一部には今では貴重な濃朱色の大理石・レッドトラヴァーチンがあしらわれています。

    席の間隔が広いためゆったりと座れ、中央にある三角の大きなテーブルでは1人で来店しても開放的な気分で寛ぐことができます。地下鉄の改札に隣接し人々がせわしなく行き交う京都ポルタの中でも、この店は時間がゆっくりと流れているように感じられます。

    フレッシュな国産いちごを使用したいちごショート1個税込760円(期間限定)。ふんわりとしたスポンジ生地と口溶けのいい生クリームとの相性抜群。ケーキは季節変わり

    「創業者の猪田は欧州に視察に行き、現地のカフェなどで見たものをイノダコーヒの内装や食器のデザインの参考にしました。」



    「現在本店の横に立つ白い壁のメモリアル館は最初の店を復元したものですが、当時はかなり革新的な建物だったようです。」

    町家造り風の本店はホテルのロビーのような吹き抜けと大きな窓が気持ちよく、重厚感のあるインテリアやギンガムチェックのテーブルクロスが印象的。実は猪田氏は画家としても名を馳せた人物で、食器に描かれたヨーロッパの城の紋章のような向獅子のロゴマークも彼がデザインしたそう。今でも洋風サロンのような空気が漂う店内の所々に、猪田氏の芸術的な感性が宿ります。

    店の雰囲気は各店舗で少しずつ異なりますが、どの店舗もクラシックで落ち着きのある雰囲気を大切にしているそう。昨年リニューアルしたことで話題になった三条店の新しい建物も、美しいアーチ型の窓を持つ洋館が凛とした佇まいを見せています。


    [Photo by Daijirou Okada]

    「新たな三条店のコンセプトは、新しくも懐かしい『New Classical』。旧店舗の面影を感じられる優雅な雰囲気を残しながら、若い世代でもカジュアルに利用できるように明るく開放的な店を目指しました。シンボルだった楕円形のオーバルカウンターも健在で、新旧織り交ぜた空間になっています。2階の壁には「INODA COFFEE」の真鍮プレートを飾るなど、旧店舗の装飾やオブジェも大切に受け継がれています」。

      
    [Photo by Daijirou Okada]

    -創業時から変わらない味とスタイルのブレンドコーヒー

    イノダコーヒを代表するブレンドコーヒー・アラビアの真珠も、創業時から変わらない味。エチオピア産やコロンビア産などをブレンドしたヨーロピアンタイプの深煎りでコクがあるアラビアの真珠は、今でも一番人気のコーヒーとなっています。専用のネルを使い、ネルドリップで丁寧に抽出するのも昔からのスタイルで、まろやかで深い味わいです。

    「イノダコーヒのオリジナルであるブレンドコーヒーは全部で6種類。2023年に登場したイパネマの瑠璃は浅煎りで軽めのテイストになっており、幅広い味を楽しんでいただけます」。

    また「アラビアの真珠」は最初からコーヒーに砂糖とミルクを入れて出すのも、イノダコーヒならではのスタイルとして知られています。

    「創業当初の話ですが、お客さんが商談やお話に夢中になり、いざ飲もうとするとコーヒーが冷めていて砂糖とミルクがうまく混ざらないことがありました。創業者の猪田がその様子に気づき、美味しいコーヒーを飲んでもらうため最初から砂糖とミルクを入れて出すようになったそうです。現在はその旨をお伝えし、好みを確認してからお出しするようにしております」。

    レモンパイ710円はメレンゲとスポンジ、レモンカスタードクリーム、パイ生地の4層になっており、レモンの風味が爽やか。定番のコーヒー・アラビアの真珠はモカコーヒーがベース、香り・コク・酸味が絶妙なバランス。コーヒー一杯750円がケーキと一緒に注文で600円に

    -クラシック感が漂うフードメニューも魅力

    ホテルで味わうようなクラシックな雰囲気の料理もイノダコーヒの特徴。ビーフカツサンドを始めとした種類豊富なサンドイッチやスパゲティ、ピラフなど、老若男女に好まれるメニューが揃います。

    「料理はコーヒーに合うことを第一に考え、当初からのレシピで味を守ることも大切にしています。ポルタ支店限定のとろふわオムライスのように、各店舗で限定のメニューも用意しております」。

    とろふわオムライス税込1480円。切ると中からとろりと流れ出す半熟の卵とコクがあるデミグラスソースの相性が抜群。中はチキンライス

    温かいまま味わってもらえるようにスパゲティはフタ付きで提供するなど、細やかな配慮もイノダコーヒ流。美味しいものをベストな状態、ベストなタイミングで出せるよう、店全体で連携するおもてなしもイノダコーヒの伝統です。

    イタリアンスパゲティ税込1130円は全店舗で人気。トマトベースの昔ながらのナポリタンの味で、2.2㎜と太くもっちりとした麺が食べ応え十分

    -名優も愛した喫茶店で、夕方以降の静かな時間を楽しんで

    イノダコーヒでは、数十年に渡り、ほぼ毎日訪れいつも同じ席に座る常連客も知られた存在です。お気に入りの席で朝の一杯を楽しむため、開店前から並ぶお客さんも少なくないのだとか。「いつもの」と注文するお客さんもいるそうで、店との信頼関係が伺えます。

    「心地よく過ごしていただくためホスピタリティを大事にしながらも、出過ぎない接客を心掛けています。家族で3世代、4世代に渡って通い続けてくれるお客さんもいらっしゃり、お子さんの成長に年月の流れを感じることもありますね」と店長の佐藤剛さんはにこやかに話します。

    かつては俳優の高倉健さんも三条店に何度も足を運び、コーヒーや店の雰囲気を楽しんだといいます。時を経ても変わらないイノダコーヒの存在は、京都を訪れる旅人にとっても癒やしの場所になっているようです。
    また一日中賑わうイノダコーヒですが夕方以降は比較的落ち着くので、よりゆっくり過ごせておすすめなのだとか。一日の最後にご褒美として味わうコーヒーが格別の味であることは間違いありません。

    今回のスポットの基本情報

    ポルタ支店
    【住所】京都府京都市下京区東塩小路町858-1 京都ポルタ内
    【アクセス】JR/近鉄/地下鉄各線 京都駅、各バス路線 京都駅前下車 
    【電話】075-343-2380
    ※最新情報は、イノダコーヒポルタ支店 HPにてご確認ください
     サービス案内 | 京都ポルタ HP

    三条店
    【住所】京都府京都市中京区三条通堺町東入ル桝屋町69
    【電話】075-223-0171
    【アクセス】JR線・近鉄線・市営地下鉄 各線京都駅下車。各バス路線 京都駅前下車。
    ※詳細情報は、公式HPよりご確認ください

    本店などイノダコーヒのその他の店舗情報は、こちらから

    ライター・カメラマン情報

    ライター:桑野 詠子
    愛知県出身京都在住。京都が好きで移り住んで約20年。制作プロダクションでの編集を経て、ライターとして独立。主にグルメ系や旅系の雑誌・webの記事を書いている。

    カメラマン:畑中 勝如
    宮崎県出身。京都の「STUDIO NEUTRAL」にて写真を学ぶ。関西を中心に勝手に活動中。

    今回の記事制作担当

    株式会社リーフ・パブリケーションズ

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