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京都市伏見区下鳥羽城ノ越町
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文覚上人がまだ北面の武士・遠藤盛遠(もりとお)だった若かりし頃、渡辺渡(わたる)の妻・袈裟御前に横恋慕した。袈裟御前は悩んだ末に夫を殺すよう盛遠にもちかけながら、実際は操を守るため自分が夫の身代わりとなって盛遠に首をはねられる。誤って袈裟御前を殺してしまった盛遠は己の非道を恥じ出家し、彼女の菩提を弔うために墓を設けて一宇を建てたのがこの寺の起こり。境内には袈裟御前の首塚があり、本堂には文覚、袈裟、渡の三体の木像が安置されている。その佇まいは、数少なくなった茅葺の山門を今に伝えている。
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