京都の「おいしい」の舞台裏へ。京の食文化を学ぶ、梅小路エリアの朝活プラン。

2026年02月19日(木)

  • 京都駅周辺

京都の「おいしい」の舞台裏へ。京の食文化を学ぶ、梅小路エリアの朝活プラン。

目次

    観光客で賑わう前の、凛とした空気が流れる朝の京都。実は、私たちが想像するよりもずっと早い時間から、熱い活気に満ち溢れている場所があります。「京都市中央市場」は、1927年に日本で初めて開設された中央卸売市場です。

    今回はそんな京都市中央市場から、水産棟の再整備に合わせて2023年にオープンした見学エリアを楽しみます。さらに、市場のプロも認める朝ごはんを堪能し、知的好奇心を満たすミュージアムを巡る特別な朝の過ごし方をご紹介します。

    朝早くから、まだ知らない京都の日常を探しに行きませんか?


    【京都市中央市場水産棟見学エリア】京の食卓の心臓部にふれる

    JR梅小路京都西駅を降りてすぐ、そこには水産物や青果物などを扱い京の食卓を支える巨大な市場があります。最初に向かうのは、2023年にオープンし一般公開が始まった京都市中央市場水産棟の2階見学エリアです。

    午前5時から6時頃、見学エリアは活気に包まれます。眼下には銀色に輝くマグロや季節の鮮魚、塩干物がずらりと並び、せり人の声が館内に響き渡ります。その力強い光景は、まさに京都の台所の鼓動そのものです。

    「早起きは苦手」という方もご安心ください。せりが終わった後の時間帯でも、見学エリアは「食の学び場」として充実した展示を見ることができます。

    側面に設置された展示パネルや紹介映像では、市場に集まる魚などが私たちの食卓に届くまでの、仕組みや工夫、歴史がわかりやすく解説されています。

    展示映像と照らし合わせることで、せりが終わり静かになった卸売場を見下ろしながら、「あそこでさっきまでこんなドラマがあったのか」と、仕組みを学ぶことができます。

    楽しい映像や体験型の展示など、子どもの視線を釘付けにする工夫が随所にあるため、親子でのお出かけにもおすすめです。

    展示の最後に待っているのは、市場の主役ともいえる運搬車「モートラ」の運転を体感できるコーナーです。他地域では「ターレ」と呼ばれることも多いですが、京都では古くから「モートラ」の名で親しまれてきました。

    実際にハンドルを握り、動く時の振動を感じる「モートライドツアー」では、市場人の気分を存分に味わうことができ、大人も子どもも夢中になってしまうはずです。

    京都市中央市場水産棟見学エリア

    住所 京都市下京区朱雀分木町80
    アクセス JR嵯峨野線 梅小路京都西駅 下車 徒歩4分 
    市バス33・205・208号系統「七条千本」下車 京阪バス・ステーションループバス「梅小路・ホテルエミオン京都」下車(「七条京阪前」からの直行便) 
    ※見学者用の駐車場はございませんので、お車の方は近隣のコインパーキングをご利用ください。
    営業時間 5:00~17:00
    定休日 水曜日(祝日を除く)・年末年始(12月31日~1月4日)
    連絡先 075-323-6777
    URL https://www.kyoto-ichiba.jp/

    【伊勢屋】市場の人々の体を温める、滋味あふれるこがね色の一杯

    市場の活気に刺激をうけたら、次はその「熱量」の源を味わいにいきましょう。次に向かうのは、食堂「伊勢屋」です。

    このお店は、中央卸売市場ができた約100年前からずっと、ここで働くプロたちの胃袋を支え続けてきた名店。現在は、4・5代目となる母娘で店を切り盛りされています。2023年に移転したお店は新しく、はじめての人でもふらりと入りやすい温かな雰囲気が漂っています。

    店の扉を開けると、おだしのいい香りが。ここでぜひ味わいたいのが、京都の日常で親しまれている「衣笠丼」です。

    ほのかに甘いだしをたっぷり含んだきざみおあげ(油揚げ)と、シャキシャキした九条ネギを、ふわふわの卵でとじ込めたその姿に、食欲がそそられます。

    初代から変わらずこだわって使われている利尻昆布と鰹の合わせだしの旨みが、口の中でじゅわっと広がります。

    華美な京都グルメとは一線を画す、実直でいて繊細な「普段着の京都の味」。店主の温かい接客とともに、市場の歴史の一部をいただくような、ぜいたくな時間をすごしてください。

    伊勢屋

    住所 京都市下京区朱雀宝蔵町52
    アクセス JR嵯峨野線 梅小路京都西駅 徒歩5分、JR 京都駅 徒歩12分
    営業時間 5:30~12:30
    定休日 水・日曜日
    連絡先 075-311-0834
    URL なし

    【京の食文化ミュージアム・あじわい館】「なぜおいしいのか」を知る

    先ほど味わった衣笠丼のだしは、なぜ香り高く、滋味深かったのでしょうか?

    伊勢屋から歩いて10分ほどの「京の食文化ミュージアム・あじわい館」では、その理由を学ぶことができます。

    和食の味の決め手は、何と言っても「だし」。
    ここでは、だしの素材である昆布を展示し、種類や大きさ、質感を知ることができます。さらに、だしの試飲体験があり、ふだん家ではなかなかできない、鰹や昆布、合わせだしの飲み比べをすることができます。

    また、京都独特の風土と、農家のたゆまぬ努力によって育まれた「京野菜」の展示も、このミュージアムのハイライトです。
    聖護院かぶ、賀茂なす、海老芋といった伝統野菜が、なぜこのようなユニークな形や名前を持つのか。その成り立ちが紹介されています。
    見慣れないユニークな形状や、その育て方に大人も驚き、興味がそそられます。

    ここでは京都の家庭で受け継がれる「おばんざい」や季節ごとの「行事食」など、京都の暮らしに根ざした食文化の全体像を知ることもできます。
    あじわい館でのひとときは、京都の「食」が単なる味覚に留まらず、歴史や文化の集積であることを実感させてくれます。あなたの知的好奇心を満たすぜいたくな体験となるでしょう。

    京の食文化ミュージアム・あじわい館

    住所 京都市下京区中堂寺南町130番地 京都青果センター3階
    アクセス JR 丹波口駅 徒歩3分
    市バス「京都リサーチパーク前」徒歩2分
    営業時間 8:30~17:00
    定休日 水曜日(祝日を除く)、年末年始(12月31日~1月4日)
    連絡先 075-321-8680
    URL https://www.kyo-ajiwaikan.com/

    【嘉嘉】京都の朝の余韻に浸るおみやげを

    朝の締めくくりには、2024年にオープンした「嘉嘉(よしよし)」へ立ち寄りましょう。

    こちらのお店は、約70年にわたり業務用の卸売を中心に、だしまきや寿司用の卵焼きを専門に製造してきた「大栄製玉」が手掛ける直売所です。

    ショーケースには、うつくしい焼き色のだしまきがずらりと並びます。

    看板メニューの「だしまきサンド」は、一口頬張れば、厚みのある柔らかなたまごの層が口の中でふんわりほどけます。やさしいだしの風味と、たまご本来の甘みに、マヨネーズが合わさった三位一体のあじわいに、思わず笑顔がこぼれます。

    この3つ、実は似て非なるもの。両端のサンドはマヨネーズが塗られたプレーン、真ん中のサンドには柚子胡椒がプラスされています。京都のたまごサンドといえばカラシが一般的ですが、柚子胡椒のさわやかな辛みが、たまごの味わいを引き立てます。京都のだしまきサンドに新しい風を吹き込んでいます。

    「毎日食べてもいいようなものを作りたい」と語る店主は、やさしい味つけと無添加にこだわっているそう。だしまきのみならず、パンもマヨネーズも無添加のものを厳選していると語ります。

    さらに、最近話題を呼んでいるのが「なる屋さんのバスクチーズケーキ」です。なる屋さんは、店主のご家族が、京都の老舗料亭「瓢亭」「和久傳」での修行を経て営まれている京懐石のお店。バスクチーズケーキが大好きだというご主人が自身のために開発したレシピが評判を呼び、一般にも売り出すようになりました。和三盆を使用したすっきりとした甘みがたまごのコクと調和し、止まらなくなるおいしさ。口コミで評判が広がり、予約する人が絶えないというのも納得の逸品です。

    だしまきサンドに、バスクチーズケーキ。
    朝活の締めくくりに、職人のこだわりをぜひ持ち帰ってください。

    嘉嘉

    住所 京都市下京区西新屋敷下之町18
    アクセス JR丹波口駅 徒歩5分
    営業時間 10:30~17:00
    定休日 水・日曜日
    連絡先 075-351-7696
    URL https://www.instagram.com/yoshiyoshi.daieiseigyoku/

    手にはおみやげ、心にゆとり。まだ見ぬ「京都の朝」に会いに行こう

    市場の活気に触れ、だしを味わい、食文化を学び、名店の味を持ち帰る。もしかすると、このプランを終えた時、時計の針はまだ正午前かもしれません。ゆったりと過ごす朝の時間は、早起きした人だけに与えられる最高のごほうび。

    梅小路エリアは市場のほかに、京都鉄道博物館や京都水族館、梅小路公園といった観光スポットがあり、日中もたっぷり楽しむことができます。

    次の京都観光は、少しだけ目覚ましを早くセットして「おいしい京都のはじまり」を探しに行ってみませんか?

    ※情報は2026年2月時点のものです。

    企画・取材・執筆|オギユカ
    撮影|岡安いつ美
    編集|株式会社ツドイ

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