京都の多国籍な朝ごはんが生む自由な選択肢/バラエティ豊かな朝ごはん一覧

2026年02月19日(木)

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京都の多国籍な朝ごはんが生む自由な選択肢/バラエティ豊かな朝ごはん一覧

目次

    京都の朝ごはんといえば「和朝食」をイメージする方が多いでしょう。しかし、今、京都の朝ごはんはもっと自由で、エネルギッシュです。

    今回は、京都に住む筆者が「観光で京都を訪れる友人を連れて行きたい朝ごはん」をご紹介します。レバノン料理に、香港粥、そして昭和な喫茶店のホットケーキ。それぞれの店主に、朝ごはんへの想いを聞きました。

    【汽(き)】薪火が香る、みんなを受け入れるレバノン料理のテーブル

    京阪 清水五条駅のほど近く、早朝から人々が集う場所、レバノン料理店「汽(き)」。

    「汽」の店主は、25年のキャリアを持つ元フレンチシェフ。なぜこの地で、そしてなぜレバノン料理で朝食をつくりはじめたのでしょうか?

    レバノン料理の特徴は、野菜づかいの豊かさ。ムスリムの方やヴィーガン、ベジタリアンの方でも安心し、何よりおいしく食べられる工夫が随所に見られます。

    「おいしいのは当たり前。オーガニックな食材にこだわった野菜をふんだんに使ったレバノン料理で、健康的で満足感のある一日のはじまりを提供したいんです」

    店主の長野さんの言葉通り、看板メニューのモーニングプレートはカラフルな野菜とボリューミーな主菜でいっぱい。 

    「朝ごはんにこだわりたくなったきっかけは、若い頃に一年滞在した台湾での経験です。台湾の人々は、朝から外に出て、栄養バランスの取れた食事をしっかり摂る。“生きるために食べる”という活気に満ちていました」

    日本の忙しい朝に、ただお腹を膨らませるだけではない、心まで満たされる食事を届けたい。その想いが、パワーを感じる一皿を生みました。

    メインのスモークチキンとひよこ豆のコロッケ「ファラフェル」に、サイドはひよこ豆のペースト「フムス」や、ハーブのエルダーフラワーで香り付けした赤玉ねぎ、自家農園で育てた無農薬野菜の発酵料理など、色鮮やかなデリが並びます。

    本来は小皿料理が続くレバノン料理。あえてワンプレートに凝縮したのは、レバノン料理になじみが薄くても、一つひとつメニューを選ぶ必要がなく誰もが楽しめるように、との優しさから。これらを薪窯で焼いたピタパンに挟んで頬張れば、複雑な香りと食感が口いっぱいに広がります。

    「お肉を食べたい人も、ヴィーガンの人も、宗教上の制限がある人も。みんなが同じテーブルを囲める店にしたい。」

    ここ京都に店を開いたのは、その想いと多様な人が集まる環境がマッチするから。「みんなが同じテーブルを囲める店」をつくる意味は、京都だからこそより深まるのではないでしょうか。

    汽 (ki:)

    住所 京都府京都市下京区都市町149
    アクセス 京阪本線「清水五条駅」から徒歩5分
    営業時間 朝食:8:00~10:30 (9:45L.O.)(予約可)
    ランチ:11:00~15:30(14:45L.O.)(予約不可)
    持ち帰り:11:00~14:30
    連絡先 075-585-4224
    URL https://www.instagram.com/ki.kyoto/

     

    【小梟(シャオシャオ)】おばんざいと香港粥の幸福な融合

    京阪電車 七条駅の近くにある香港料理店「小梟(シャオシャオ)」。

    ここでいただく朝ごはんのトレイを埋め尽くすのは、干し貝柱の香港粥と彩り豊かな18種類もの小鉢です。

    朝食メニューを導入したのは、オープンから2年が経過した頃。
    「この立地では、普通のことをやっていてもお客さんは来ない」。そう考えたオーナーの米田さんが導き出した答えが、視覚的にも圧倒される「やりすぎなぐらいずらりと並ぶ小鉢」というスタイルでした。

    18種類の小鉢を前に、どのお客さんも「どれから食べよう」と迷い、顔をほころばせます。その「迷いながら食べる楽しさ」こそが、米田さんが仕掛けた最大のおもてなしです。

    滋味深い香港粥をメインに、そこに合わせる小鉢は、京都の伝統的な“おばんざい”をイメージしつつ、香港のエッセンスを散りばめた独自のラインナップです。

    米田さんは毎年香港へ赴き、味の研究を欠かしません。一方で、サービスには日本らしい細やかな工夫も。セットに追加できるほうじ茶には生姜と蜂蜜を加え、体が芯から温まるようアレンジされています。

    朝8時半から始まるこのにぎやかな食卓。「ここを起点に、どんどん他の場所を観光してほしい。京都観光のスタート地点として、腹ごしらえをしてもらえたら」と米田さんは語ります。

    小鉢の多様な味を添えて、お粥をいただく。そんな贅沢な朝のひとときが、一日の旅をいっそう豊かなものにしてくれます。隠れ家のような空間で味わう「やりすぎ」なほどのおもてなし。それは、京都と香港の文化が混ざり合う、唯一無二の朝の風景でした。

    小梟 (シャオシャオ)

    住所 京都府東山区本町8丁目89-1
    アクセス 京阪本線「七条駅」から徒歩5分、JR「京都駅」から徒歩10分
    営業時間 朝食:8:30~10:30 (10:00L.O.)
    ランチ:11:30~15:00(14:30L.O.)
    ディナー:17:00~20:30(火曜日から土曜日)
    連絡先 075-746-4583
    URL https://www.instagram.com/xiaoxiaokyoto/

    【珈琲の店 雲仙】昭和10年から続く、琥珀色の時間

    次にご紹介するのは、昔ながらの喫茶店のホットケーキ。四条駅と烏丸駅から歩いて5分ほどの「珈琲の店 雲仙」は、1935年創業の歴史ある喫茶店です。

    現在、店を切り盛りするのは三代目店主・高木さん。創業者の孫に当たります。

    家業とは距離をとり会社に勤めて暮らしていましたが、母親が倒れたことを機に一念発起。8年前から、日曜限定で店を開ける二足のわらじ生活をスタートさせました。

    そして2024年秋、58歳で喫茶店に専念することを決意。祖父母、両親と受け継がれてきたバトンを、正式に受け取ったのです。

    店内には、創業当時から変わらない作り付けの椅子や、戦後の空気を今に伝えるモザイクタイルが残り、訪れる方を一瞬にして昭和の京都へと誘います。

    伝統を守る一方で、高木さんは攻めの姿勢も忘れません。SNSや雑誌で話題となり、若いお客さんを惹きつけているのが、独自開発したホットケーキです。

    「もし創業時の昭和10年にホットケーキを作っていたら」という想像を形にした一皿は、出張中の機内誌がヒントになりました。お店と会社員という複業生活が生きた瞬間です。

    雲仙のホットケーキは“もっちもち”で、他では食べたことのないような食感。驚いていると、「どうせやるなら、よそにはないものをね」と高木さんはほほ笑みます。

    店主のこだわりは、味や内装に留まりません。店内には愛蔵のレコードが流れ、1970年代のヤマハのアンプが、厚みのある音色を響かせます。

    「本を読んだりリラックスしたりして、ゆっくりくつろいでほしい」

    計器類を一切使わず、母から学んだ「感覚」だけを頼りに週一度行われる焙煎。その豆で淹れたコーヒーを手に、常連客と観光客が静かに時間を分かち合う。

    伝統という土台の上に、店主の遊び心と情熱が重なる雲仙は、これからも京都のまちとともに、心地よい時を刻み続けます。

    珈琲の店 雲仙

    住所 京都府京都市下京区西洞院通綾小路下る綾西洞院町724
    アクセス 阪急京都線「四条烏丸」から徒歩3分
    営業時間 平日:7:00~17:00
    土曜日・日曜日・祝日:7:00~15:00(14:30 L.O.)
    定休日 火曜日、その他不定休あり
    電話番号 075-351-5479
    URL https://www.instagram.com/toshinori_takagi_detch/

     

    なぜ、京都の朝ごはんは「自由」なのか?

    3軒の物語を辿って見えてきたのは、京都というまちが持つ「新しいものを受け入れる懐の深さ」です。

    京都の人々は、伝統を大切にしながらも、実は新しいもの好き。かつて、いち早く琵琶湖疏水を引き、日本初の路面電車を走らせたまちです。「未知なるものへの挑戦」は、実は京都らしいことなのかもしれません。

    伝統的な和朝食も、薪火で焼くピタパンも、18種類の小鉢が並ぶお粥も、昭和から続くコーヒーも。そのどれもが、今の京都を形作る大切なピースです。

    朝食という一日のプロローグがこれほどまでに多様であることは、このまちを訪れる人々、そしてここで暮らす人々の生き方が、より自由で豊かであることの証でもあります。

    京都旅行の朝、少しだけ早く起きて食事に出かけてはいかがでしょう。そこには、あなたをアップデートしてくれる新しい選択肢があるはずです。

     

    京都のバラエティ豊かな朝ごはん一覧

    喫茶店のモーニング、異国料理の朝食にパン屋さんなど、さまざまな種類のおすすめ朝ごはんをご紹介します。

    イノダコーヒ 本店

    「京都の朝は、イノダコーヒの香りから」と言われるくらいの名店。珈琲と豪華な朝食セットで、優雅な一日が始まります。

    住所 京都府京都市中京区道祐町140
    営業時間 7:00~18:00(17:30L.O.)
    定休日 年中無休
    連絡先 075-221-0507
    URL https://www.inoda-coffee.co.jp/shop/honten/
    https://www.instagram.com/inodacoffee_kyoto_official/

    喫茶マドラグ

    名店のレシピを受け継いだ「コロナの玉子サンドイッチ」を朝から堪能。ふわふわで圧倒的な厚みの玉子は、どこか懐かしく心もお腹も満たされます。

    住所 京都府京都市中京区押小路通西洞院東入ル北側
    営業時間 8:00~18:00(お食事 17:00 L.O. ・ドリンク 17:30 L.O. )
    定休日 不定休
    連絡先 075-744-0067
    URL http://madrague.info/
    https://www.facebook.com/lamadrague.kyoto

    富小路粥店 

    お出汁の効いた台湾スタイルの中華粥で整う朝。おばんざいを添えて、体の芯から温まるヘルシーな朝食が魅力です。

    住所 京都府京都市下京区徳正寺町41-2
    営業時間 7:00~16:00(15:30 L.O.)
    定休日 水・木曜日
    連絡先 075-744-0662
    URL https://www.instagram.com/tominokouji_kayuten/

    To.(トゥ)

    イタリアンの流れを汲みながら、オリジナリティあふれるブランチ。ブリオッシュを使ったオープンサンドや揚げドーナツ「ボンボローニ」が人気です。

    住所 京都府京都市中京区高田町500 ポポラーレ御池1F
    営業時間 モーニングブランチ:8:00~12:30
    ディナー:平日17:00~23:00(22:00L.O.)
    週末&祝前日:17:00~24:00(23:00L.O.)
    定休日 火曜日
    連絡先 075-708-3720
    URL https://www.fudokyoto.com/to/
    https://www.instagram.com/to.ainomachi/

    TOM

    鞍馬口で味わえる本格的なタイ料理店、TOM。朝のTOMはタイの中華街の端で密かな人気の滋味深い薬膳スープでじんわり身体を目覚めさせてくれます。

    住所 京都府京都市上京区上御霊前通烏丸東入上御霊前町409-2
    営業時間 8:00~15:00(14:00 L.O.)
    定休日 日・月曜日 ※現在は土曜を中心に営業日が限定的。公式Instagramを確認。
    連絡先 070-8434-7669
    URL https://www.instagram.com/tom.kyoto/

    salon de 1904

    重要文化財の京都府庁旧本館内でクラシックな朝を。レトロな雰囲気の中で、香り高い珈琲とモーニングセットが楽しめます。京都の人に半世紀以上愛されている前田珈琲が運営。

    住所 京都府京都市上京区薮之内町1
    営業時間 8:00~17:00
    定休日 元日
    連絡先 075-414-1444
    URL https://www.maedacoffee.com/shopinfo/fucho/
    https://www.instagram.com/salon_de_1904/

    パヴェナチュール (pave nature) 

    大山崎の自然に囲まれたベーカリー。ハード系からソフト系まで種類豊富。ガラス張りの客席からは風景がよく見えます。

    住所 京都府乙訓郡大山崎町白味才51-2
    営業時間 7:30~18:00
    定休日 火・水曜日
    連絡先 075-952-1188
    URL https://www.instagram.com/pavenature/

    サンクパン (CINQ pain)

    数々の有名レストランからひっぱりだこのパン屋さん。ハード系を中心に70種類ものパンが並ぶ。人気の「クロワッサン」も見逃せません。

    住所 京都府乙訓郡大山崎町字下植野小字宮脇114番9
    営業時間 8:00~17:00
    定休日 月・火・水曜日(月曜祝日は営業)
    連絡先 075-874-4159
    URL https://cinqpain.com/
    https://www.instagram.com/cinq.miyamo/

     

    ※情報は2026年2月時点のものです

    企画・取材・執筆|オギユカ
    撮影|岡安いつ美
    編集|株式会社ツドイ

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