おなかいっぱいにならないムシヤシナイ

おなかいっぱいにならないムシヤシナイ
おなかいっぱいにならないむしやしない

娘「お腹空いたわ。おやつある?」母「カステラがあるし、お食べやす。『ムシヤシナイ』になりますやろ」娘「お母さん、明日のお弁当のおかずなに?」母「そうやなァ。あんたの好きな『ニヌキ』と『グジ』にしょか」娘「うちの好きなもんばっかりやしうれしいわァ。そやけど、お母ちゃん、ごはん『テンコ盛り』にせんといてや太ったらいややし」母「なに言うてんの。育ち盛りやのにたんと食べんとあきまへんえ。今晩の『おばんざい』は『オダイ』と『ヒリョウズ』のたいたんにしまひょ」この会話にはたくさんの京ことばが詰まっています。むしやしないは、空腹を一時的にしのぐ軽食のこと。ニヌキはゆで卵。グジは甘鯛。テンコ盛りは山盛りにすること。オダイは大根。ヒリョウズはがんもどき。京都に生まれて暮らしていても、今の若い人たちは京ことばをどれくらい理解できるのでしょうか。おばんざいやテンコ盛り、ニヌキ、むしやしないなどは今も生活の中に息づいている言葉です。ほかの言葉も「おばあちゃんが使ってた」などと懐かしく思い出す人も多いと思いますが、少しずつ使われなくなっていっています。京都では食べものにオ~サンをつけて呼ぶ習慣もあります。おイモさん、お豆さん、お揚げさん、おたまさん、おいなりさんなど、食べものを大切にしてきた証ではないでしょうか。そういった考え方が少しずつすたれていくのは、非常に残念なことです。

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