明兆と如拙

明兆と如拙
みんちょうとじょせつ

禅の修 行を続けながら絵をたしなんだ僧はたくさんいますが、画僧と呼ばれ絵を描くことの方に重きを置いた僧もいたようです。しかし画技を極めることも、これまた修行と考えれば、それで良いといえるでしょう。「明兆(みんちょう)」は「吉山明兆」といい、東福寺で「殿司(でんす)」という役職に就いていました。会社でいう庶務課です。それゆえに「兆殿司(ちょうでんす)」と呼ばれることもあります。室町絵画の先駆者とされ、後に続く如拙(じょせつ)、周文(しゅうぶん)、雪舟(せっしゅう)に影響を与えた大先輩的な存在です。また、如拙は相国寺の画僧であり、退蔵院所有の国宝「瓢鮎図(ひょうねんず)」の作者として世に知られています。この軸は禅画の最高傑作とも言われ、瓢箪(ひょうたん)を以て如何に鯰(なまず)を捉えるか? という禅的な問いかけに当時の五山のエリート僧32人が真面目にその答えを寄せ、それが絵の周りに全て書かれているという面白い水墨画です。表面がヌルヌル鯰を、表面がツルツルの瓢箪でいかに捕まえるか? さて、あなたならどう答えますか?

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