絵巻

絵巻
えまき

絵巻物は奈良時代に考え出され、平安時代の国風文化による物語や説話が書かれるようになってから一気に流行したようです。古いものでは醍醐寺や上品蓮台寺(じょうぼんれんだいじ)に伝わる「絵因果経(えいんがきょう)」が挙げられます。これは、お釈迦様の説話を絵巻化したもので、内容的には仏画になります。また、源氏物語は書かれた当初から大ベストセラーとなり、画帖や絵巻も数多く作られたようですが、現存する最古の源氏物語絵巻は徳川美術館や五島美術館に残されている平安時代末期のものです。またアニメーションの原点とも例えられる高山寺の国宝「鳥獣人物戯画(ちょうじゅうじんぶつぎが)」はウサギやカエル、サルなどを登場させ、当時の世相を風刺したとされる傑作です。漫画家の手塚治虫氏はこの絵巻を見て大きな衝撃を受けたと語っていました。千年近い昔に、すでに現代の漫画の手法が試みられているとのことでした。また、国宝「信貴山縁起(しぎさんえんぎ)絵巻」も、やはり平安時代末に描かれたとされ、信貴山朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)にまつわる霊験譚(世にも不思議な話)を表現していますが、人物などの生き生きとした描写が特徴です。

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