とこ

床(とこ)は茶室の心臓部分ともいえる大事な場所です。やはり主人が客人をもてなすために、一番神経を使うのは「床の飾り」といってもよいでしょう。特に掛軸はその書や絵が、主人の客人に対する心映えを表現しているといっても過言ではありません。ですから、客人として招かれた場合、床の掛軸の内容や、その前の花器や生けられた草花を話題に、主人に話かけるのがマナーですね。さて、その軸や花というソフトを置くハードである「床」ですが、框(かまち)を横たえた上段となる構造が基本です。床框(とこがまち)は、座敷より一段高くするために横に置いた材で、初期の茶室では黒漆塗りの面取り(角を削ること)框が正式とされていました。床の正面は「大平壁(おおひらかべ)」といいまして、その上部には掛物をかけるための釘が打たれ、花入れを掛ける釘が床柱、床天井、大平壁などに打たれます。

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