住吉造と春日造

住吉造と春日造
すみよしづくりとかすがづくり
「大社造(たいしゃづくり)」の流れをくんだ形式で、大阪の「住吉大社」の本殿に代表されることから、そう呼ばれています。「大社造」と同じく「妻入(つまいり)」つまり屋根の妻側を正面に持ってくるパターンで、長方形の室内を前と後ろに二つに分け、扉に近い手前を「外陣(げじん)」、奥の方を「内陣(ないじん)」とします。また屋根は直線的でシルエット古代の神殿を彷彿とさせるシンプルさ。形式は「大社造」の流れを受けていますが、その素朴さは「神明(しんめい)造」に共通するものがあります。また、「妻入」という「大社造」や「住吉造」の形式に影響を受けた造りに「春日(かすが)造」があります。奈良の春日大社に見られる造りです。ちょうど「流造」の「平入(ひらいり)」を、「妻入」に転換させた形式といえるでしょう。その屋根の形を横から見ますと、取手の短い鍋を伏せたような形にも見えます。基本は一間社で4神を祀りますので、コンパクトな神殿が並んでいるという印象を受けます。京都では吉田神社や大原野神社、平野神社などにその例が見られ、やはり春日大社を氏神とする藤原氏との繋がりの深さを感じます。